なんか獣人族が暮らしてるようなそういう世界の話 大のオス二匹が共に寝ても幅が余る大きなベッド。燐音はこの広いベッドが嫌いだった。まるで早く嫁を娶り世継ぎを残せと言われているようで、広いはずなのに妙な圧迫感を感じていた。家族が平等にこの広さのベッドを与えられていたのならば気にならなかったのだろうが弟の一彩のベッドは召使い達とそれ程変わらないごく一般的なサイズだ。まだ自身も一彩も幼かった頃はよく添い寝をしていたが今の燐音が成長した一彩と添い寝をしようものならあまりにも窮屈に感じるのだろう。
同じ血が通っているはずなのに種族の違う弟、昔は自分とは違う物珍しさによく弟の丸い尻尾や長い耳を触っては嫌がられた記憶が蘇る。兄のする事はほぼ肯定していたような弟が嫌がっていたのだから本当に嫌だったのだろう。形状が違うとは言え自身にも耳と尻尾はあるのだから他人に触られたくないという心情は分かってはいるのだがどうしてもその違う形状に興味が湧いてしまうのだ。
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