蜘蛛の恩返し~朝の蜘蛛は仇でも逃がせ~ 人語を解す脳、同族とは一線を画す外見や能力が付与されたのは、神の恩寵ではなく神の怠惰の証とも言えるでしょう。愛を持って丁寧に造られれば、本来蜘蛛という生き物が持ち得る範疇を超えた力を持って生まれ落ちることはなかった。私はそう思うのです。
「ふむ。ふむふむふーむ」
それでも必死に生きて参りました。なんとか形だけでも蜘蛛社会に溶け込み、蜘蛛生まだまだこれからという時。私は今、死の危機に瀕しておりました。全身を青で染め上げた死神が、じっと私を覗き込んでいます。
青髪の青年は地べたを這いずる私をより近くで見つめる為か、しゃがみこんで私の一挙一動を見守っています。怖くて前足さえ動かせません。このまま私は殺されるのでしょうか。
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