いやー、さっきは面白ェもンが見れたぜェ。
ついさっき起きた出来事を思い出し、バールゼフォンは筆を動かす手を止めないまま肩を震わした。仲間であるラウムの父から済まないんだが……と誘われた舞踏会。舞踏会自体には興味は無いのだが、行き倒れになりかけた所を助けて貰った恩がある。それに別嬪さんと会えるかもしれないと思えば、まあそう悪くも無い。
そう思い、了承の返答をしたのだったが、やはり特に面白味も無く、好みの美人もこれと言っていない。これはもう諦めて、壁際で適当に酒でも飲んでいるかと思った矢先のあれだ。
ラウムの性格を知っている身としては意外でもなんでも無かったのだが、他人から𠮟られ慣れていない『貴族様』にはそうでは無かったらしい。どこぞの貴族の馬鹿息子を凄い勢いで説教し出したラウムを唖然とした表情で見ていた。
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