Human Likeドーナツの穴は、どこまで存在するのだろう。
環にひとつの欠けもないとき?
ひと口齧られたとき?
いや、最後のひと口まで?
あるいは、そこにドーナツがあったという事実を認識した者がいるならば、たとえもうドーナツがなくとも穴はあると言えるのかもしれない。もしかしたら、ドーナツの穴なんてものは初めから存在しない、という見解もあるのかも。
もはや使い古されて久しい、旧文明の思考実験だ。
"ない"ことによって"ある"ことを証明する。"ある"と"ない"の境目の定義を見出すために、さまざまな可能性を思い描き、議論し、真理──必ずしも学術的に正しいとは限らないが──へと辿り着く。
1846