君とずっと二つでいたい はやく、はやく会いにきて、と彼女たちの声がする。
『自分の住んでいる村のプラントが赤く染まると“癒しの神様”が現れるらしい。』
孤児院の食堂に置かれた古ぼけたラジオから、本気で信じていないことが分かる声色でDJの声が響く。誰かが切り忘れたラジオは視聴者もいない静かな部屋で勝手に盛り上がっていた。食事の時間でもない今、食堂にいるのは自分と弟分であるリヴィオだけだ。
食堂に来たのは、ただの暇つぶしだった。昼食を終え、洗濯物を取り込む手伝いをするにはまだ早い時間であることは時計を見なくとも分かる。外からは共に孤児院に住まう少年少女らの楽しげな声、走り回る足音、ボールが弾む音が聞こえる。のどか、ただその一言に尽きる。
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