おかえりを言わせて ブリーズブリュー祭。
バドルドー祭や風花祭と同じく、モンドを代表する伝統的な祭りである。
そして今回もというべきか、魔龍からモンドを救った我らが大英雄、栄誉騎士。もとい旅人が、また何かの問題を解決しようと走り回っているのを小耳に挟んだ。
ファルカさん……騎士団の大団長が、レザーの親御さんから荷物を預かっているらしく、その中には熟成された酒が入っていたそうで、自分たちもそれと同じものを作ると言っている。
それをリサから聞き、酒造に必要な材料、というか道具である酒樽をアカツキワイナリーから譲って貰おうと、ワイナリーの従業員である俺に話がきた。
確かに俺から直接ディルックに言えば、旅人の名前を出せば簡単に承諾するだろう。けれど今はブリーズブリュー祭。せっかくの祭りなのに身内が家に帰らないのは寂しいもので、少し含ませながらリサにそう伝えれば交渉人として騎兵隊長の名前がすぐにあがった。察しの良いヤツは好きだぜ。と、二人で悪巧みをするようにくすくすと笑った。
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