『欲しがらせて与えるのは支配の基本』―――――――――
「先生、大好き」
寝台の上でこちらに身を寄せ彼女は言った。
初めて出会った頃よりも幾分か落ち着いた声色が耳に沁み入る。
あの頃よりも伸びた背丈。長くなった髪。肩や腰は丸みを帯びて、体つきは随分柔らかくなった。
愛らしかっただけの幼な子は、今まさに成熟の時を迎えようとしている。
「小生も、あなたを愛しております」
そう返すと、彼女はパッと顔を上げた。
――嬉しげに笑う相貌は、子供の頃と何ひとつ変わらなかった。
「せ、先生もう一回!もう一回言ってください!」
「愛しておりますですよ、アオイくん」
「~~! えへ、……えへへへへぇ」
ぐりぐりと額をこちらの胸に擦り付け、彼女なりに精一杯の力で抱き締めてくる。
1932