一等級 昼休みの賑わいは、デパートのフードコートにちょっと似てる。みんなの声が波みたいにそよぐのや、興奮した誰かの声がひときわ目立つ瞬間。食欲をそそる揚げ物の油の匂いに、色鮮やかなメニューとか。
「アニキのやつ、ちょっと年上だからって、えらそうにしちゃってさ」
「うちの姉ちゃんよりまだマシだよ。弟使いが荒いのなんの」
「──そういや悟天、お前兄貴がいたよな。お前はどうなんだよ」
一足先に食べ終わってぼうっとしていたら、他愛無い雑談の輪にボクも含まれていた。クラスメイトに言われるがまま、頭の中でにいちゃんの顔を思い浮かべる。
「う〜ん、考えたことなかったなあ」
脳内の兄ちゃんは、ぱっと人好きのする笑顔を浮かべて、ニコニコ笑っていた。う〜ん、ついこの間世界を救った人間と同一人物とは、まるで思えない。
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