恋人たちに祈りを込めて『贈り物』の仕方にもその人の癖が出るものである。よく、女性誌などで言われる話を例にあげると、『男性が、何の記念日でもない日に贈り物を買ってくるのは、なにか後ろめたいことがあることが多い』辺りではないだろうか。もちろん、全ての人がそういうわけではない。何か謝りたいことがあるとき、重要な事を伝える時なども贈り物をするし、本当に気まぐれに何かをおくる事もある。けれど、割とその人の贈り方はパターン化しているのではないかとトレイ・クローバーは実家のケーキ屋を手伝いながら、思うことがある。
「……」
閉店間際のケーキ店のイートインスペースで不機嫌そうに腕を組み、窓の外を眺めている男は、先月も似たような顔をして来店した。その表情から推測するなり、喧嘩でもしたのかもしれない。
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