Birthday Party 晴れ渡った青空から温かな日差しが降り注ぐ自室の中で、ロキは文机に座って鼻歌を口ずさみながら、クリーム色の便箋の上にお気に入りの羽ペンを走らせていた。珍しく、とても気分が良かったのだ。時折サイドテーブルから魔術でティーカップを浮き上がらせ、口元に引き寄せて少し唇を湿らせては、またサイドテーブルにふわふわと戻したりもした。そのような術を使っている時も、唇にはかすかな笑みが浮かび、瞳は平素よりもキラキラと嬉しそうに輝いていた。いつもは不健康に青白い痩せた頰にもほんのり赤みがさしていた。目を上げるたびにそれが部屋の向こうの鏡に映っているのが見えて、柄にもなく幸せそうな自分に更に満足げな笑みを浮かべた。
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