アイツは優等生みたいな顔をして、その癖沸点は俺よりも低くてすぐ手の出る奴だった。手だけじゃない、クソ真面目に呪霊の登録だってしてるくせに、それだってすぐに繰り出しては二人して夜峨先に怒られて。結局問題児だったのは二人ともだった。
けれど、同時にすごく優しい奴だった。甘党だなんだって人を笑うその口が紡ぐ言葉はいつだって甘っちょろくて、ガキみたいな理想を信じていた。意識しないで人を煽れるクズのくせに、人を守ることで自分が救われるような奴だった。「弱きを助け、強きをくじく」なんて、今日日小学生だって言わねぇんじゃねえの。普通の小学生がどうだなんて知らねェけど。
そんな奴だと知っていた。親しくもない、どうでもいい他人のために怒ったり悲しんだり出来る奴だった。その度にぐずるお前に付き合った。それでしんどくなるのはお前の方だってよくわかっていたけれど。
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