操命握津僕の個性が発現したのは5歳の時だ。個性の発現は一般的に4歳までだといわれていたが、僕は遅い発現だった。4歳の時に無個性かと思われたが、検査で個性因子があることは分かっていたので、特に深く考えずに日々を過ごしていた。
僕の個性は母と買い物に出かけていた時の道にいた野良猫を撫でていた時に発現した。
当時僕は動物が大好きで、猫と戯れることに幸福感を感じていた。その猫は人懐っこい猫だったので、僕が触っても特に嫌がることなくゴロゴロと喉を鳴らしてくれていたのだ。僕も顔がゆるゆるになって夢中になって撫でていたら、猫の元気がだんだんなくなり、そして終いには動かなくなってしまったのである。怖くなった僕は母に泣きながら、猫が急に死んでしまったことを訴えた。すると母は、僕を急いで家に連れ帰った。
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