恵がかわいそうな雰囲気遊郭パロの話太陽が沈み、月が出始める頃に花街は漸く目を覚ます。
伏黒恵は花街の出口に程近い場所で茶屋を営む両親と姉に囲まれて育った。
この茶屋、魔扈羅庵は花街に来た客たちの情報を交換する場として開かれている。
主な内容としては、どこがぼったくりでどこがいいとか、初めてならあちらがいいとか、と思えばやれあそこの郭の可愛い娘がとうとう見世に出ただの、あちらの廓の遊女が駆け落ちして死んだだのと金子事情が厳しい男たちが安い酒を舐めながら噂話を交換するだけだ。
そんな茶屋に一際浮いた男がいる。
男は五条悟と言い、この花街最大の大店である五条屋の若き主人である。
白の毛と6尺以上ある長身で、五条屋の容赦のない折檻が有名であるがゆえに街をぶらつくだけで五条の旦那が出たと妖怪扱いされている。
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