七月。
真夏の纏わりつくような熱気を振り払って、私は走っていた。
待ち合わせ時間は7時50分!!
現時刻!7時48分っ……!!
視界の端に、ムチのように飛び回る髪。いつもお昼を買っていくコンビニも、今日は素通り。
大丈夫!いつもはもう合流できてる時間だけど、今私は走っている。歩くよりも速いのだ。大丈夫だって!
「遅刻。暑い」
「はっ...はひゅっ……ご...ぜぇ、はあ、ごめ……」
ショートボブを汗でぐっしょり濡らし、息も絶え絶えな私。見ないで下さい。
しれを、涼しげな顔をして見下ろしてくるロングヘアの美少女。言葉とは裏腹に、汗一つかいていない。どこかの童話のお姫様と錯覚する。
うっ、隣に並べないでくれ...。
「日焼けしたら陽菜が責任取ってくれんの?そもそも”成海と一緒に学校行きたいよ~~!”って行ってきたの誰だっけ」
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