竜の便り「ほい、スグリ」
休み時間の廊下のど真ん中。わざわざ一年のクラスの前までやってきたカキツバタから手渡されたのは、おそらくノートのページを千切った四つ折りの白い紙だった。
きょとんと首を傾げ、スグリはカキツバタをじっと見る。金の瞳が楽し気に揺れていた。
「何、これ」
「オイラからのラブレターだぜぃ♡」
「は!? ら、らぶ……っ!?!?」
ただの紙だったそれが急に重たくなったような気がして、スグリはぐっと手に力を込める。
「反応良すぎだろ。かわいいやつー。お子ちゃまにゃ、ちょーっと刺激が強すぎたかー?」
「わぎゃっ!?」
くつくつと笑うカキツバタにくしゃりとかき混ぜられ、束ねた髪がぱらりと解けた。視界が髪で遮られるのを掻き分けていると、カキツバタが軽く肩を抱き寄せてくる。
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