清潔で独特な香りに、白い天井。ゆっくりと目を開いたコノエはすぐにここが病院であることを理解した。
コノエの右腕をしっかりとつかんでいたハイラインが勢いよく立ち上がる。
「艦長!」
「アル、バート」
寝起きの喉は乾燥して言葉が出にくかった。
目を見開いてはくはくと口を震わせたハインラインがキッと目を吊り上げる。見慣れた顔だが、いつものそれよりも強く感情が滲んでいる気がした。
「なぜ、あんな真似をしたんです。閃光弾だったからよかったものの、もし爆発物だったらどうするつもりだったのですか」
「そうか、あれはそうだったか」
「艦長!」
身を乗り出した彼が握る手に痛いほど力を込める。コノエは苦笑してそれをはがそうとした。けれど普段から工具も握っているせいか力が強く、思う通りにはならない。
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