偶然にも程がある 登下校の時間は、一日の中でもかなり退屈だ。朝は鬱々とした気分を、夕方はまとわりつくような疲労感を抱えながら、見飽きた景色の中を行く。昨日と同じ、そして明日も変わることのない道を、惰性で歩き続ける。
何の意味があるのかと、考えてしまえばそこまでだろう。人生とは、きっと無駄の積み重ねだ。意味を求めるほうがナンセンスなのかもしれない。
俺は、息を大きく吐き出した。そうしたところで、身体が軽くなるわけでもないけど。でも、何もしないよりかはマシだ。
オレンジ色に染まり始めた通学路は、早く家に帰れと促してくる。秋口は日が落ちるのが思いのほか早い。空が不思議なグラデーションを描いたと思えば、あっという間に星空に切り替わる。
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