空くんの18歳の誕生日にディルックさんに抱かれて、それ以降は何もなく、卒業までは一緒に寝るだけの2人『何が欲しい?』
そう、ディルックさんに聞かれたのでぼくは素直に答えた。
形ばかりの夫婦だからせめて抱いて欲しいーまさかそんな事を言うと思ってたなかったのかディルックさんは本当に驚いた顔をしたけれど、ぼくの気持ちをわかってくれたのか引き寄せてくれた。
誰にも教えていないけれど、ぼくの旦那さんはディルックさんだ。
色々あって、既成事実も何もないのにディルックさんはぼくと籍を入れてくれた。ディルックさんが指にはめている指輪と同じものをぼくは持っているけれど、指にははめられなくてこっそりと忍ばせている。まだ早いから『本当にぼくがちゃんも奥さんになった時に指にはめてね』と言ったら微笑んで小さく頷かれた。ちなみにディルックさんの指にはまっている指輪はぼくが頼まれてはめた。見た目の印象を裏切る少し節張ったぼくよりはるかに大きな手をつかまえて、ゆっくりととおした。2人きりの誰もいない不思議な時で、ディルックさんが少し嬉しそうだったのを覚えている。
2815