「捕らわれの白姫」帰蝶さんに攫われてから、
3週間ほど経ったように思う。
連れてこられた場所は、南蛮との商館のようで、
この時代にはそぐわない、西洋の家具ばかりが
部屋にも廊下にもあちこちに並べられている。
この商館は、1階が応接室とお店になっていて、
2階が帰蝶さんの部下の人達の部屋があるらしく、
私がいる3階は、帰蝶さんや元就さんなど
今回の戦に大きく関わりを持つ
人達の仮部屋があるらしい。
織田軍に狙われている以上、
主な活動場所は移動する他ないため、
本拠点を構えてはいないようだ。
わたしは、ここ3週間で帰蝶さんが何を思って、
この大規模な戦を起こしたのか、
その目的を知ることができた。
『誰しもが生の重みを尊び、
命が簡単に散ることのない世の訪れ』
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