プレゼント ナナは気がつくと、大きな木のうろにいた。見覚えがあるような、ないような。
外には青空が広がっている。頭を突き出して、周囲を確認する。どこかの森のようだ。
「……どうしよ、わかんない」
ナナはこれでもエルフだ。来たことがある森ならば、すぐにわかる。初めてであれば見たことがない、と感じる。
だけどこの、成人女性がすっぽり隠れられる大きなうろのある木も、それよりは幾分背の低い木々が連なる光景も、わかるともわからないとも断言できない。妙に既視感はあるが、具体的な場所が出てこない。
「…………っ」
ぶるり、と肌寒さが襲ってきて肩が震えた。とりあえずここを出て、大きな枝によじ登ろうと思い立つ。できる限り高いところを目指そう。
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