しぇあはぴ! 夜7時過ぎ。夕食の匂いが残る食堂前の廊下を通り抜け、見慣れた扉の前に立つ。日暮れ後の冷えた空気で悴んだ手。ドアノブを掴めば、さして力を入れなくても開いた。扉の向こうから流れ込んだ温かい空気が、ふわりとアタシを包む。
「ただいま戻りました」
「おかえりっス!」
撮影から帰ると迎えてくれたのは、同室のバンブー先輩。いつもながら張りのある声は、トレーニングと仕事のコンボで疲れた体に元気をくれる。
「夕飯、ちゃんと食べたっスか?」
「ケータリングが出たんで。バンブー先輩は?」
親指を立ててウインクしている。ま、鬼の風紀委員長サマだもんね。時間通りに食堂で出された栄養バランスのいい夕食を食べたんだろうな。
「今日の献立ってなんでしたっけ」
1969