ぼんな五とお嬢な歌の話「えっ、先生の服、そんな高いの」
「あー、なんかそうらしいよ。よく知らないけど」
虎杖の驚いた声に返る五条の言葉は間延びしていて、関心のなさを伺わせた。野薔薇のこめかみがひくつく。
「あんたまじで言ってんの? それハイブランドよ? ハイブラ! くっそー! 特級様はハイブラを普段着にできるのかー!」
悔しがっているのか、羨んでいるのか、地団駄を踏む野薔薇の顔は、けれどはしゃいでいるようにも見えて、めったにお目にかかれない高級品にテンションが上がっているようだった。
「服とか買いに行く時間もないからさぁ、季節の変わり目ごとに外商呼んで適当に見繕って、まとめ買いしてんの」
だから、似たようなシャツが大量にあるよ、とへらりと笑う五条の前で、野薔薇はぴしゃーん! と落雷を受けた衝撃に固まった。
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