⑩バランスを取る必要がある。
それまで休日の朝、もしくは日中に現れていたジュウォンはあの日以来判で押したように休日前の夜に訪れる様になった。仕事を終えこの家に着くのは大体ドンシクがベッドに就いた後だ。
なるべく音を立てないようシャワーを浴びた彼がそっと毛布を捲り、向けられた背を抱きかかえ、うなじに口づけ、耳の後ろに鼻を入れ深く息をする。毎回判で押したような一連の行動をドンシクは毎回寝たふりで受け入れる。
そしてこの時間が何より至福な事に後ろめたさを感じている。
うら若き青年の休日の始まりから何もかもを独占している。人道的に見て喜ぶべきではないのだ。
ジュウォンのこれは依存や執着に近い。
分かっていながら解放するよう誘導してやれない自分もまた。
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