あなたの名前を呼びたかった after story「ユウさん…ユウ、ユウ!」
「はい、ジェイドさん。…ふふふ…どうしたんですか?」
嬉しくて何度も何度も呼ぶ。呼べば答えてくれる、それがこれ程幸せだとは。
彼女を抱き締めながら、ふわふわの三つ編みを留めている花飾りを外すと、長い茶色の髪が広がった。あんなに短かった髪がこんなに綺麗に伸びている。その髪に指を通し、一房掴んでキスをしながらソファーに押し倒した。これが、僕達の合図、と記憶が教えてくれる。
彼女は目を見開き、え?と口をひくつかせた。
「あ、あのジェイドさん…?ちょっと…」
「……お嫌ですか?」
「いや、あの、え?」
彼女の視線は、シャツのボタンをゆっくり解いていく僕の手と、顔を行ったり来たりしている。僕の中で、昨夜抱いた記憶はある。あるけれど、未だ記憶が混濁している僕にとってはまるでこれが初めてのような高揚感を覚える。僕に組み敷かれて驚く彼女を今すぐにでも丸裸にしてやりたい欲と、ゆっくりじっくり堪能したい欲がせめぎ合う。
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