『オオカミ少年の物語』全4章(うち本編2章)「あの星を見ると、なぜだかとても恋しい気持ちになるんだ。」
1. 夢の章 ~エモクトロ~
砂漠の中にぽつんと、町がありました。その町にはいつも退屈そうにしている少年がいて、毎日何もない砂漠をふらふらと散歩していました。
ある日、その町外れの砂漠に赤い飛行機が不時着していました。少年がそっと近寄ると、飛行機のそばで大人の男の人が困った様子で、ぼんやりとパイプを吸っていました。少年はあまりにもびっくりしてしまったので、目を見開いたまま動けませんでした。その大人はやっと少年に気がつき言いました。
「君はこのあたりに住んでいるのかい?近くに、飛行機の整備ができるところはないかな?」
少年は首を縦に振ったり横に振ったりしながら、だんだんとわくわくしてきました。もしかしたら、この人は僕をこの町から連れ出してくれるかもしれない。
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