偶像の死人も神も、その生の幕を閉じる時というのはあっけないものだ。
磔にされた体が、縛られた両腕が、血を流す頭部がひどく痛む。体中にガソリンが染みて不愉快なはずだというのに、私は己に降りかかった全てを他人事のように感じていた。
人間ごときが神たる私に罰を下すなど片腹痛いと思ったが、今の奴らに私の威光はもう通用しない。人間を言葉で操れなくなれば力でねじ伏せられる、そんな単純なことが起こったというだけなのだ。
まあ良いだろう。私という神の有難さが理解できなかった愚者共にはあの世から罰を与えてやる。神殺しの未来に光が見えることは無いということをその身で知るが良い。
とある人間が近づいてくる。
嗤うそいつは黒いフードで目元を隠しているが、隙間から緑色の髪が見えた。
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