Love is blindさて、こんな遊びはどちらが始めたのだったか。
年に一度のバレンタインの日。ノボリとクダリは互いに入れ替えっこする。そうしてノボリへの告白をクダリが聞いて、クダリへの告白をノボリが聞く。不誠実だとは自分でも思う。けれどやめられない。
だって、だってね?
「……あの子達みたいに、ぼくらもなれるかな」
ぽつりと零した言葉にはっとして口元を押さえた。慌てて見渡せば、幸いにも誰も聞いていなかったようでほっと息をつく。
(危ない)
つい口を滑らせてしまった。聞かれたらどうしようかと思った。でも大丈夫だ。誰にも聞こえていないはず。
今更のように胸の奥から湧き上がる不安を押し殺しながら、クダリはそっと自分の胸に手を当てた。どくんどくんと心臓が脈打っている。まるで何かを期待しているように。
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