午前11時。時計の針の音、鳥の囀りが酷く耳にこだまする。
染み付いた部屋の匂い、いつ洗っただろうか。一週間…下手したら1ヶ月以上洗濯していない毛布に包まれて一日を過ごす。
まだ締切まで余裕はあるが、この状況を見た人は口を揃え「寝てる暇があるなら原稿に手をつけろ」と言うだろうか?
誰に言われた訳でもない、妄想上の罵倒に頭痛が増していく。
ピンポーン
「……せい?…る?」
軽やかなチャイム音と聞き馴染みのある声。
そういえば今朝なにか連絡が来ていたような。慌ててLINEを開くと、『碧』と書かれた名前から一つチャットが送られていた事に気づいた。
トーク画面を開くと同時に碧から通話がかかり、動揺をするも恐る恐る応答ボタンを押した。
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