馬鹿な弟だと𠮟ってくれ「お前にはわからないだろうな」
「あき、」
「傲慢でムカつく姉だと思ってた。『姉』だって自分に言い聞かせて。なのに、こんな…」
普段なら絶対にしないのに、乱暴にベッドへ押し倒してきた彰人。震える手で私の胸倉を掴みながら、呪詛を吐くかの如く『傲慢な姉』への文句を連ねていく。
「なんで……っ! なんでオレがこんな気持ちにならないといけないんだ…!なんでいつも、いつもいつもいつも……ッ!」
その表情は怒りと悲しみが入り混じったような、複雑なものだった。
「なぁ…オレの姉だろ…?助けてくれよ。もう、こんな気持ち持たないように…馬鹿な弟だなって、叱ってくれよ…」
壊れてしまいそうなほど弱々しい声音だった。今にも泣き出しそうに顔を歪めている弟に私はなんて声を掛ければいいのか分からなかった。
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