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    rei_yoruyami

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    rei_yoruyami

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    久しぶりにこういうの書いた

    #あんスタプラス
    anstaPlus

    花束一応俺零と夢主(夢主視点、ほとんどさくまれ喋らない)
    花吐き病のお話






    『それ』が始まったのは2ヶ月程前の事だった。

    あの日、帰宅し突然の吐き気に襲われた。
    だが吐き出したのは胃液や食べた物ではなく『花』だった。

    『嘔吐中枢花被性疾患』.....通称『花吐き病』。
    話には聞いたことはあったけどまさか自分がかかるなんて...。
    この病は片想いを拗らせた場合に発症する、言わば恋の病のようなもの。
    完治方法はただ1つ、相手と両想いになること。

    自覚は、ある。
    だけど伝える勇気なんてなかった。
    誰だって偶然同じクラスになって偶然家の方向が同じというだけの人間に告白されても困るだけでしょう?
    だからずっと隠して過ごしてた、何ヶ月も。

    きっとこれはその代償なのだろう。
    病を知った幼なじみには「早く告白しなよ」と言われた。
    それが出来たら花吐き病になんてなってない。

    あの日初めて吐いた花は『リナリア』だった。
    彼へ向けたメッセージ、届くはずなんてないのに。

    今私は病院のベッドの上にいる。
    医者が言うには、この病気でここまで衰弱することは極めて稀らしい。
    よっぽど相手への想いが強くなければそうはならない、と。

    入院してから幼なじみを含め、何人ものクラスメイトが見舞いに来てくれた。
    だけどその中に彼の姿はなかった。
    意外と薄情なんだ、なんて言える義理もない。
    別にクラスメイトが入院したところで見舞いに来ないタイプなんだろう。
    事実、他にも来ていないクラスメイトなんていくらでもいるわけだし。

    ぼんやりと外を眺めていれば、ノックの音と扉が開く音。
    看護師かクラスメイトが来たのだろう、とあたりをつけてドアの方を見れば、そこに居たのは、

    「...朔間くん」私の、想い人だった。

    「珍しいね、朔間くんが見舞いに来てくれるなんて」
    なんなら初めてじゃない?なんて咲いながら話す。
    上手く咲えてるかなんてわからないけど。

    まぁな、なんて歯切れの悪い回答をしながら彼はベッド横の椅子に座った。
    なんとなく、雰囲気がいつもと違う。
    違和感の原因を探そうとしていれば、朔間くんが口を開いた。

    「お前、花吐き病らしいな」

    「.....なんでそれを」

    お前の幼なじみに聞いた、と彼はこちらを見ることなく告げた。
    彼女が誰かに病気について伝えることはなかったのに.....一体なぜ?
    私が、彼に片想いをしているのを知っているから、?
    だとしても、伝える必要なんてないはず。

    ぐるぐると考えていれば、突然腕を掴まれて、そして、

    「え、?」

    腕に、キスを落とされた。

    「...じゃあな」

    なんて部屋を出ようとするから、「待って、」なんて服を掴んで引き止めてしまった。

    「いまのは、」

    なんだったの、なんて言う前に口から出てきたのは

    「ッゲホッ」

    『パンジー』と『ナズナ』、それと

    「『バラ』.....?」

    しかも、赤い、赤い、『バラ』。
    『パンジー』と『ナズナ』の花言葉なんてわからないけど、
    『赤いバラ』の花言葉は多くの人が知っているだろう。

    「お前、これ、」

    .....おそらく、目の前の彼も。
    知られたくなかった、彼にだけは、この気持ちを。

    「...............ごめんね、朔間くん」

    「好きなんだ、あなたの事」

    彼の反応が怖くて下を向いていれば、腕を引っ張られて、抱きしめられた。

    「.....え?」

    「.....俺も、好きだ」

    夢みたいだと思った。

    「ゆめ、じゃないよね、」

    「当たり前だろ」

    思わず自分の頬を抓って確認してしまった.....痛い。
    そんな私の姿を、彼は笑いながら見てた。

    「よかった、ッゲホッ」

    吐き出されたのは『白銀の百合』。
    それを眺めて、ああ、治ったんだ、なんて他人事のように考えてた。

    「ありがとう」

    私を好きになってくれて。
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