ヒトって碌でもないねスマートフォンだった。
砂に塗れて、画面が割れた小さめのスマートフォン。
ここはカコ区画の小さな砂浜で、区画内のある程度は把握しているレオンでもそれを見るのは初めてだった。
「ん?なにコレ。機械……だよな。
はぁーあ。こんなんミライ区画に決まってんだろ……汽車にでも放り投げるか?」
スマートフォンをつまみ上げて裏表とひっくり返した後、レオンはつまらなさそうに辺りを見渡して汽車を探す。
その時、そのスマートフォンから控えめな声が発せられた。
「あの……」
「うおっ、あぁ、喋れるタイプ?どうも。
お前さん、どう考えてもミライ区画の人でしょ?オジサンが知らないモノだもん」
「あの、ごめんなさい……。
私、区画とかよく分からないんですけど……旧型のiPhoneなので」
3044