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    アメリカ横断ウルトラクイズ

    いずみのかな

    DONE有栖川作家編 健全コメディ。これを書いたころは、まだ有栖も火村も大学時代に懐かしいあのクイズ番組に出られた年代生まれでした。あったんですよ、アメリカ横断ウルトラクイズっていう番組が
    NYははるか遠く 大学というのは非常に特殊なコミュニティだ。その気になれば、四年間誰とも口を利かなくとも不自由はない。二十年ほど生きてきて、自分は人と関わらないほうが生きやすい、という後ろ向きな――しかし魅惑的な結論に達していた火村にとって、誰も自分を知らない土地での学生生活はようやく掴んだ理想の環境であり、四年間、あるいはさらに数年ほど延びるかもしれないが、ともかくその期間は他人を受け付けることなく、日々の暮らしはただ静かにひっそりと営まれるはずだった。
     そんなささやかなプランがあっけなくひっくり返されたのは去年の五月のことで、ふと気が付けば、いつのまに周りには友人と呼べる人間がちらほらと存在するようになっていた。初めのころこそ、理想と現実のあまりのギャップに軽いめまいを覚えたような心地だったが、そうしてしばらく過ごしてみると、人との付き合いはかつて感じたほど苦痛でもなく、ティーンエイジャーだった自分がいかに独善的で視野が狭く、排他的だったことか。つまり一言で表せば平凡に若かったかということを、しみじみと実感してしまったりもした。
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