オスマン帝国
伊吹半兵衛/磐城ムツ田老
DONEオスマン帝国・チャナッカレ県ゲリボル(ガリポリ)に送られた兵士の手紙の日本語訳。オーストラリア・ニュージーランド軍団のある兵士からの手紙大正4年8月10日、ゲリボル
かつては幸せだった我が家族の皆様、ゲリボルの地獄からこんにちは。こんな手紙をあなたたちに書くつもりはありませんでした。しかし私は若かりし頃の夢を描きたかったのです。あと、私がここを地獄と呼ぶのは気にしないでください。ここは本当に美しい場所です。オリーブの木に豊かで、戦であるにも関わらず、どこでも花を咲かせる赤いケシに喜びが満ちる。そして、ゲリボルの鶯があなたたちへの憧れと相まって私の心を痛めつける。
幾時も幾時も、私は何も感じず、何も聞きません。その間、彼はただ見て、隠れ、撃ち、銃剣を直し、敵を殺し、シラミを掻き取る。食料として渡された乾燥ビスケット、クラッカー、干し肉のかけらをかじる。時間があれば彼は眠り、私は本当に僅かにしか眠らない。
2045かつては幸せだった我が家族の皆様、ゲリボルの地獄からこんにちは。こんな手紙をあなたたちに書くつもりはありませんでした。しかし私は若かりし頃の夢を描きたかったのです。あと、私がここを地獄と呼ぶのは気にしないでください。ここは本当に美しい場所です。オリーブの木に豊かで、戦であるにも関わらず、どこでも花を咲かせる赤いケシに喜びが満ちる。そして、ゲリボルの鶯があなたたちへの憧れと相まって私の心を痛めつける。
幾時も幾時も、私は何も感じず、何も聞きません。その間、彼はただ見て、隠れ、撃ち、銃剣を直し、敵を殺し、シラミを掻き取る。食料として渡された乾燥ビスケット、クラッカー、干し肉のかけらをかじる。時間があれば彼は眠り、私は本当に僅かにしか眠らない。