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    タラコ

    桃本まゆこ

    MAIKINGこの本(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20595666)を出した時にイベントの無配にしようと思って当日までに終わりませんでした。今年中に書き終わったらこことpixivに載せます。同じ設定の短編(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21176506)も再録したのでよかったらぜひ読んでみてください~
    カズピョンの浮気(仮題) 自分の恋人が見知らぬ男と親しげに寄り添いあって歩いていた。しかもその相手が信じられないくらいのイケメンだった—―と言って、うちの常連客は大げさに泣き崩れた。
    「浮気ってこと? カズピョンに限ってそんなことないと思うけど」
    「俺だって疑ってるわけじゃないんですよイチノさん。でも実際に見たんです。すっげぇカッコイイ人と一成さんが、めちゃくちゃ仲良さそうに笑いながら歩いてるところ……!」
     そう叫んでぐすぐすと鼻を啜る沢北を見て、俺はひとつため息をついた。

     数年前からうちの店に通うようになった沢北栄治というこの男は、まさに彗星のように夜の街に現れた。
     背が高く、顔が良く、声も身体も良く、初めて来た時からその存在感は周囲を圧倒していた。モデルか芸能人かと噂されていたが、ただの新卒サラリーマンだったというのだから驚きだ。外見の良さだけでなく、性格も愛嬌があって明るくコミュ力もあるとくれば、モテない理由などなかった。誰もが沢北の恋人になりたがったが、意外なことにその想いを遂げられた人間は一人もいなかった。
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