トライアウト
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DOODLE凛潔/雪宮視点/トライアウト時薄氷を踏む 彼は意外にも想像していたより数段大人しかった。
五角形のお世辞にも広いとはいえない室内に、少しの余裕をもって置かれた三つのベッドのどれを誰が使うのか決める時も、照明が落とされてシンと静まり返った真夜中でも。
もっと地雷原のような──それこそどこで怒りのスイッチが入るのか分からない、取り扱い要注意人物なのだろうと勝手に考えていた。
けれど、朝になって昼になってまた静かな夜が訪れても爆発が起こる事はなく(自分の前では、だが)俺はそこでようやく糸師凛という人間に対する見方を少しだけ改める事となった。
彼は無駄をひどく嫌う。どのような確執があるのかは知らないが、並々ならぬ敵意で彼の兄である糸師冴を、それこそ本気で叩き潰す為の努力を続けている。
5394五角形のお世辞にも広いとはいえない室内に、少しの余裕をもって置かれた三つのベッドのどれを誰が使うのか決める時も、照明が落とされてシンと静まり返った真夜中でも。
もっと地雷原のような──それこそどこで怒りのスイッチが入るのか分からない、取り扱い要注意人物なのだろうと勝手に考えていた。
けれど、朝になって昼になってまた静かな夜が訪れても爆発が起こる事はなく(自分の前では、だが)俺はそこでようやく糸師凛という人間に対する見方を少しだけ改める事となった。
彼は無駄をひどく嫌う。どのような確執があるのかは知らないが、並々ならぬ敵意で彼の兄である糸師冴を、それこそ本気で叩き潰す為の努力を続けている。