Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    マラリア

    時緒🍴自家通販実施中

    TRAINING異国の軍隊に雇われた狡噛がマラリアにかかって宜野座の夢を見たり、襲撃されて怪我をしたりするお話です。
    やし酒と煙草を一本 ここでは、国家のために戦い傷を負い、入院した兵士は王から煙草を一箱下賜される。
     それは傭兵の俺も例外ではなかったらしく、野戦病院で目が覚めると、枕元には太陽のマークが刻まれた赤い煙草が置かれていた。皆はそれをありがたがって万歳、万歳と蚊帳の中、汚れた額にこすり付けていた。俺はそこまでこの国の王に忠誠心がなかったから病室で吸っても良かったのだが、夜刺されてもまずいと思いやめた。だから俺は皆がそうするように■■■王万歳と言い、王室のマークを額にこすり付け、胸ポケットに入れた。
     俺がこの野戦病院に入ることとなったのは、怪我が理由ではなく(勿論怪我はしていたが)マラリアが理由だった。最初のうちは気づかなかった。長い雨期が続き、鬱々としていた時に軽く発熱し、頭痛や悪寒に襲われ、嘔吐した時に従軍医師にマラリアと診断された。そこからは地獄だった。黒水熱を併発した俺は助かる見込みのない患者の部屋に隔離され、一週間と数日苦しんだ。死亡率は三十%というんだから、助かったのは奇跡だと言われた。流石に俺もこの時は神に感謝した。けれどまぁ、助かった俺はまた明日から軍という死地に戻る。生きてゆくために。
    2711