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    小さな奇跡

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    PASTpixiv未掲載作品。小さな奇跡だったかもしれない話とセカイの秘密の話。
    とある座長のもしも話 セカイを守るための戦いに参加すると決めた帰り道。ショーユニットの若き座長でありセカイの創造主である少年、天馬司は物思いに耽っていた。頭に浮かぶのは先ほど聞かされたセカイの裏側の話。彼の、彼らのワンダーランドのセカイを襲う怪物たちは他の、本当の想いが消え去って壊れてしまったセカイから襲ってきているのだと聞いた。もしも、自分が本当の想いをあのまま忘れ去ったままだったとしたら。あの賑やかなワンダーランドは壊れて怪物の庭になってしまっていたということだろう。
     ふと、司は今までのことを振り返る。自分達が何かひとつでもピースをとりこぼしていたとしたら、自分達とこのセカイは存続されなかった可能性があったのかもしれない。もしも、司がオーディションを受けに行ったあの日に、えむが司のことを見つけていなかったら。えむと初めて出会ったあの日、類がパフォーマンスをしていなかったら。ある意味全ての始まりであった初公演の日にネネロボが充電切れを起こさなかったら。司があの日にセカイに行かなかったら、行ったとしてもあのうさぎを笑顔にできなかったら。あの時に咲希のぬいぐるみだと気が付かなかったら。崩れる可能性のあるもしもは意外とすぐに司の頭に思い浮かんだ。
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