死なばもろとも
わたあめかんな
DONEキンデモRのスケルナイト結婚ENDの恋人ベーケス2世による「死なばもろとも」後を想像したSS。スケニュ←ベーケス2世。死なばもろとも 彼女は暗い塔の中で暮らしていた。かつては白かったであろう立派なドレスは丁寧に縫製された後も薄汚れていて、こびり付いた泥や血の染みは到底落としきれなかった。サイズは彼女にぴったりだったが、他人の気配や面影が纏わりついて息も出来ないぐらい窮屈だ。顔を覆う白いベールに隠された瞳から流れ出る涙は一滴も無く、人形の様にぎこちなく瞬きをする。その美しい瞳は彼女の夫以外の顔を見ることはもう無い。同じ様に美しい顔の彼女の夫は狂おしいほどの愛を込めて彼女の瞳を見つめ、永遠に手に入らない恋に焦がれながら彼女を抱いた。あなたが求める全てになれたら良かったのに、と彼女は夫の顔の皮膚が時々捲れているのを見ながら願う。それか、全てに目を瞑れるほどあなたが盲目だったら良かったのに。もしこの瞳が無くなったら何処にもあなたの望む“姫様”は居なくなるのだと、彼女は悲しんだ。
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