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    等々力

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    MOURNING記憶が混濁した想い人との短い生活を描いた曽野綾子先生の小説「わが恋の墓標」の市茜パロ。手元になく記憶だけで書いているので色々と抜け落ちています。

    ▼1980年前後、雪村が竹之内の所で下宿をはじめて二十五年近く。長命者に関する書籍を大量に保管している古い館は等々力渓谷にあった。そこに勤める四十半ばの使用人が雪村に語った昔話とは。

    羊殺しが行われておらず、雪村が少し穏やかな設定です。
    わが恋の墓標パロ長命者の労働をとりまく環境は、あまりに悪すぎる。
    竹之内を相手に、雪村が白い髪を掻きむしって憤慨したのがはじまりだった。

    公共の職業安定所の営業時間は夏も冬も午後六時まで。これじゃあ夜しか動けない俺たちオキナガは仕事に就くなと言ってるようなもんじゃねえか。オキナガの生活を守るのはあんたの専門なんだろ。

    愚痴を聞いていた竹之内は新聞をめくりながら、顔も上げすに言った。
    「それなら当事者から声をあげるべきだな。俺一人になにもかも頼られても困る」
    少し頰をふくらませ雪村は押し黙った。
    雪村は光明苑が長野に移ったのを機に社員寮付きの仕事に就いていたが、オキナガを嫌う先輩社員たちの度重なる嫌がらせに据えかね、とうとうその中の一人を殴り倒した対価に仕事と寮を無くして竹之内を頼ったのだ。それから二十年あまり、下宿生活は続いている。
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