和歌山県
takami180
DONE47都道府県グルメ曦澄企画梅酒とくじら料理――和歌山県
「食前酒でございます」と江澄の前に給仕が差し出した細いグラスには、光に透かしたような琥珀色がたゆたっている。
向かいに座る藍曦臣の前には、もう少し薄い色のグラスが置かれた。
「梅ジュースをご用意いたしました」
「ありがとうございます」
給仕は一礼すると、半個室を区切る衝立の向こうに下がった。
江澄と藍曦臣は同時にグラスを手に取り、互いに微笑みあった。少しばかり照れくさいものがある。江澄は視線を外してグラスに口をつけた。
食前酒だからだろうか。甘味はそれほど強くない。
「今日はあたたかくてよかったですね」
「そうだな。というか、この辺りはそもそもあったかいんじゃないのか」
江澄は日中に訪れた千畳敷を思い出した。砂岩の海岸には海からの風が吹き付けていたが、まったく寒くなかった。江澄はコートを脱いだほどだ。
2457向かいに座る藍曦臣の前には、もう少し薄い色のグラスが置かれた。
「梅ジュースをご用意いたしました」
「ありがとうございます」
給仕は一礼すると、半個室を区切る衝立の向こうに下がった。
江澄と藍曦臣は同時にグラスを手に取り、互いに微笑みあった。少しばかり照れくさいものがある。江澄は視線を外してグラスに口をつけた。
食前酒だからだろうか。甘味はそれほど強くない。
「今日はあたたかくてよかったですね」
「そうだな。というか、この辺りはそもそもあったかいんじゃないのか」
江澄は日中に訪れた千畳敷を思い出した。砂岩の海岸には海からの風が吹き付けていたが、まったく寒くなかった。江澄はコートを脱いだほどだ。