ebizou_1127
MOURNING初雪 〜первый снег〜忠実なる副官丁容が忽然と姿を消し、代わりに部屋にいたのは白くて大きな生き物だった。
【イメージ画像ご覧下さい!ボルゾイ ご参考まで】
https://www.ana.co.jp/travelandlife/article/001173/
初雪 〜первый снег〜「夜中になると、この葛籠は狼のような声で鳴くのだそうだ。どうやら元の時代のものらしい。仔細を調べよ」
陛下からお預かりしてきた古くて大きな葛籠を目の前に、私は当惑していた。
「随分と古い造りですが、金具の意匠が元朝のものとはちょっと違うようですね」
こういう少し変わった案件は、きっと調べたがるだろうと思って、わざと丁容の研究室に葛籠を運ばせた。
案の定、食い付いてきている。
「うん。しかし、私は…肝心の狼の声を聞いた事がない。お前は?」
「私も御座いませんが、国境警備に従事していた隋州や、オイラートのウユンなら知っているのではないですか」
「ほう?」
丁容自ら、隋州やウユンの名を口にするとは、珍しい。
「そうだな。では明日の朝にでも話を聞こう。手配を頼む」
7955陛下からお預かりしてきた古くて大きな葛籠を目の前に、私は当惑していた。
「随分と古い造りですが、金具の意匠が元朝のものとはちょっと違うようですね」
こういう少し変わった案件は、きっと調べたがるだろうと思って、わざと丁容の研究室に葛籠を運ばせた。
案の定、食い付いてきている。
「うん。しかし、私は…肝心の狼の声を聞いた事がない。お前は?」
「私も御座いませんが、国境警備に従事していた隋州や、オイラートのウユンなら知っているのではないですか」
「ほう?」
丁容自ら、隋州やウユンの名を口にするとは、珍しい。
「そうだな。では明日の朝にでも話を聞こう。手配を頼む」
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DOODLE現パロ容植猫耳としっぽ。はい、優勝!
誘うしっぽ明日は二人とも仕事が休みなので、久しぶりに近くのバーへ飲みに出掛けた。
気分良く飲んだ帰り道、汪植が言った。
「こんな所に祠なんてあった?」
何度も通っている道の筈なのに気付いていなかったのか、と訝しむ程に立派な祠がそこにあった。
「あぁ、気付かなかったね。祀られてるの、猫みたい。変わってるなあ」
灯明に照らされた中をよく見ると、随分艶かしい猫が祀られている。
つんとすましたようなお顔が少し汪植に似ている気がしたので、私は思わず手を合わせた。
『汪植とずっと一緒にいられますように。あっ、猫の神様と同じように猫耳としっぽの生えた可愛い汪植も見てみたいです。一日だけでいいので!』
ついついくだらないことまでお願いしてしまったので、帰宅してから飲むつもりで買っていたハーフボトルのワインをお供え代わりに置いた。
4310気分良く飲んだ帰り道、汪植が言った。
「こんな所に祠なんてあった?」
何度も通っている道の筈なのに気付いていなかったのか、と訝しむ程に立派な祠がそこにあった。
「あぁ、気付かなかったね。祀られてるの、猫みたい。変わってるなあ」
灯明に照らされた中をよく見ると、随分艶かしい猫が祀られている。
つんとすましたようなお顔が少し汪植に似ている気がしたので、私は思わず手を合わせた。
『汪植とずっと一緒にいられますように。あっ、猫の神様と同じように猫耳としっぽの生えた可愛い汪植も見てみたいです。一日だけでいいので!』
ついついくだらないことまでお願いしてしまったので、帰宅してから飲むつもりで買っていたハーフボトルのワインをお供え代わりに置いた。
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DOODLEChe gelida mania (冷たき手を)Che gelida mania (冷たき手を)ここ最近、城内外で酷い風邪が流行っていると聞いていたので、十分に注意をしていたのだが、とうとう汪督公がお風邪を召してしまった。
やはり今日の外出が良くなかったのだろう。
お戻りになった後、直ぐに麻黄湯を処方したのだが、余り捗々しくない。
夜着にお着替えになって、寝台でぐったりなさっている督公にお声掛けした。
「百合粥、ご用意しましたよ。起きられますか?」
弱々しく首を横に振る督公のご様子に胸が痛む。
私は、督公を抱き起こした時に触れた、思ったよりも華奢な背中に驚いてしまった。
「熱いの…いや…」
「承知しました。少し冷ましましょうか」
枕元に置いた椅子に腰掛け、椀に入れた粥を匙で混ぜながら、督公を見る。
こんなに頼りなげなご様子を拝するのは、配属以来初めてなので戸惑ってしまう。
1961やはり今日の外出が良くなかったのだろう。
お戻りになった後、直ぐに麻黄湯を処方したのだが、余り捗々しくない。
夜着にお着替えになって、寝台でぐったりなさっている督公にお声掛けした。
「百合粥、ご用意しましたよ。起きられますか?」
弱々しく首を横に振る督公のご様子に胸が痛む。
私は、督公を抱き起こした時に触れた、思ったよりも華奢な背中に驚いてしまった。
「熱いの…いや…」
「承知しました。少し冷ましましょうか」
枕元に置いた椅子に腰掛け、椀に入れた粥を匙で混ぜながら、督公を見る。
こんなに頼りなげなご様子を拝するのは、配属以来初めてなので戸惑ってしまう。
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DONEある日の副官01容植の壁ドンが見たい
ある日の副官01 壁ドン督公の愛馬は、心に決めた主人にはすこぶる忠実な良い馬である。
しかし、賢過ぎる故に大変扱いにくい点においては、その主人とも相通じる所がある、と西廠の皆が密かに思っている。
しかも今日は殊の外、機嫌が悪く、朝から厩舎の寝床をガリガリ掻いては嘶き、主人を呼んでいる。
オマエハナケバキテイタダケテイイナ
それにつられてか、他の馬達も段々と騒がしくなってきてしまい、私はやむなく督公にお伺いを立てた。
「督公、申し訳ありませんが、ほんの一時で結構ですので、厩舎へお出まし願えませんか」
「何だ。また拗ねているのか」
「夕刻の哨戒にも差し支えます。その後で点心とお茶をご用意しますので、暫しお休みになっては如何でしょう」
2210しかし、賢過ぎる故に大変扱いにくい点においては、その主人とも相通じる所がある、と西廠の皆が密かに思っている。
しかも今日は殊の外、機嫌が悪く、朝から厩舎の寝床をガリガリ掻いては嘶き、主人を呼んでいる。
オマエハナケバキテイタダケテイイナ
それにつられてか、他の馬達も段々と騒がしくなってきてしまい、私はやむなく督公にお伺いを立てた。
「督公、申し訳ありませんが、ほんの一時で結構ですので、厩舎へお出まし願えませんか」
「何だ。また拗ねているのか」
「夕刻の哨戒にも差し支えます。その後で点心とお茶をご用意しますので、暫しお休みになっては如何でしょう」