誘うしっぽ明日は二人とも仕事が休みなので、久しぶりに近くのバーへ飲みに出掛けた。
気分良く飲んだ帰り道、汪植が言った。
「こんな所に祠なんてあった?」
何度も通っている道の筈なのに気付いていなかったのか、と訝しむ程に立派な祠がそこにあった。
「あぁ、気付かなかったね。祀られてるの、猫みたい。変わってるなあ」
灯明に照らされた中をよく見ると、随分艶かしい猫が祀られている。
つんとすましたようなお顔が少し汪植に似ている気がしたので、私は思わず手を合わせた。
『汪植とずっと一緒にいられますように。あっ、猫の神様と同じように猫耳としっぽの生えた可愛い汪植も見てみたいです。一日だけでいいので!』
ついついくだらないことまでお願いしてしまったので、帰宅してから飲むつもりで買っていたハーフボトルのワインをお供え代わりに置いた。
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