kei
DONEhttps://poipiku.com/1425184/3434000.html ⇒滴る雫は毒が混じる一羽の鳥が朝露に濡れて、山腹を離れた。
霊脈の基点に並ぶ国主一族の宮殿が集まるそこは、霧が立ちこめている。
白華の国と呼ばれ、白い花の咲き乱れる国の都、花守山の中心地を見下ろす夏悠殿からその鳥の影が消えるまでじっと見つめる銀色の瞳があった。
「あれはこのままお使いになってよろしいのでしょうか」
冷たい床に膝を折ってつけた従者がその視線を追うように危惧を寄せると、瞳は一度まぶたを閉じた。流麗な曲線を描く鋭い線は早朝の気だるさが少しだけ残っている。
「アシュタルにはまだ駒が残っているが、あれ以外は随分と俗物であるから」
男の声は低く、刃物のような冷たさがある。感情の絞られた声色は無駄がない。
「アシュタルという国は、怪鳥を崇める国だ。その鳥をあそこまで憎み虚無の感情を向けるものはいないだろう。それが宰相をしているのだから、あの国は面白い。国を思わぬものが国を動かそうとしている」
5872霊脈の基点に並ぶ国主一族の宮殿が集まるそこは、霧が立ちこめている。
白華の国と呼ばれ、白い花の咲き乱れる国の都、花守山の中心地を見下ろす夏悠殿からその鳥の影が消えるまでじっと見つめる銀色の瞳があった。
「あれはこのままお使いになってよろしいのでしょうか」
冷たい床に膝を折ってつけた従者がその視線を追うように危惧を寄せると、瞳は一度まぶたを閉じた。流麗な曲線を描く鋭い線は早朝の気だるさが少しだけ残っている。
「アシュタルにはまだ駒が残っているが、あれ以外は随分と俗物であるから」
男の声は低く、刃物のような冷たさがある。感情の絞られた声色は無駄がない。
「アシュタルという国は、怪鳥を崇める国だ。その鳥をあそこまで憎み虚無の感情を向けるものはいないだろう。それが宰相をしているのだから、あの国は面白い。国を思わぬものが国を動かそうとしている」