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DOODLE※ノーマルEND軸革命後レムラキピロートークテーマ「肉体の必要性」
肉の器 レムナンの会話の切り出し方が下手くそなのはいつものことだが、今夜の話題は殊更突飛というほかなかった。
「肉体があることを煩わしく感じたことってありますか?」
素肌にタオルケットを巻きつけ、うとうとと微睡みかけていたラキオは、大きな瞳を覆い隠すように長く生え揃った睫毛をぱち、ぱちとゆっくり上下させた。重い目蓋を気怠げに持ち上げてラキオは隣に目を向けたが、その視線は彼のそれと交錯することはなかった。レムナンの視線は何もない天井へと注がれていた。
人の眠気を奪っておきながら自分の方を見向きもしないことにラキオは思わずムッとする。と同時に裸の足が行儀悪く相手のふくらはぎの辺りをごく軽い力で蹴った。「痛いなぁ」と全く痛くなさそうな声が小さく笑う。それでようやく紫の瞳が自身の姿を映したのを確認して、ラキオは悪びれるでもなくフンと小さく鼻を鳴らした。
2846「肉体があることを煩わしく感じたことってありますか?」
素肌にタオルケットを巻きつけ、うとうとと微睡みかけていたラキオは、大きな瞳を覆い隠すように長く生え揃った睫毛をぱち、ぱちとゆっくり上下させた。重い目蓋を気怠げに持ち上げてラキオは隣に目を向けたが、その視線は彼のそれと交錯することはなかった。レムナンの視線は何もない天井へと注がれていた。
人の眠気を奪っておきながら自分の方を見向きもしないことにラキオは思わずムッとする。と同時に裸の足が行儀悪く相手のふくらはぎの辺りをごく軽い力で蹴った。「痛いなぁ」と全く痛くなさそうな声が小さく笑う。それでようやく紫の瞳が自身の姿を映したのを確認して、ラキオは悪びれるでもなくフンと小さく鼻を鳴らした。
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DOODLE※ノーマルEND革命後交際中レムラキ※R18
EDが治ったレムナンとそれを知ったラキオが流れで初夜チャレンジする話。挿入なし兜合わせ止まりです。
Pass:18↑? 16498
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DOODLE※ノーマルEND軸革命後交際中レムラキレムラキの小競り合いに巻き込まれるしげみち
明日の朝はパンを食べよう「レムナン。ねぇ、聞いてンの?」
馴染み深い声が自分を呼んでいるのに対し、その名の持ち主は振り向くことすらせずスンと黙りこくっている。同じ室内にいて聞こえないほどの声量ではない。むしろ、日常的にこの家に騒がしさを加えるゲーム音楽も電動工具の駆動音も鳴っていない現在の空間は、終業時刻を過ぎた今の時間帯にふさわしい静寂に満ちており、普段より声が届きやすいくらいだ。
それにもかかわらず、背を向けてだんまりを決め込んでいるレムナンは、意図的に自分の声を無視しているのだということ、そしてその原因はおそらく先程彼に渡した手土産にあるのだろうということにラキオは既に気付いていた。気付いて、そのうえで彼の選択した行動の幼稚さと狭量具合に呆れかえり閉口していた。
5382馴染み深い声が自分を呼んでいるのに対し、その名の持ち主は振り向くことすらせずスンと黙りこくっている。同じ室内にいて聞こえないほどの声量ではない。むしろ、日常的にこの家に騒がしさを加えるゲーム音楽も電動工具の駆動音も鳴っていない現在の空間は、終業時刻を過ぎた今の時間帯にふさわしい静寂に満ちており、普段より声が届きやすいくらいだ。
それにもかかわらず、背を向けてだんまりを決め込んでいるレムナンは、意図的に自分の声を無視しているのだということ、そしてその原因はおそらく先程彼に渡した手土産にあるのだろうということにラキオは既に気付いていた。気付いて、そのうえで彼の選択した行動の幼稚さと狭量具合に呆れかえり閉口していた。
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DOODLE※ノーマルEND軸革命後交際中レムラキ※挿入までしていない戯れ程度の触れ合いだけど、際どい用語が出るので一応R18としています
一度風呂場で溺れて以来一人で入浴することを禁じられているラキオがレムナンと一緒にお風呂に入る話
Pass:18↑? 11672
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DOODLE※ノーマルEND軸革命後交際中レムラキ革命後旅行中の二人が地球のテーマパークに行く話。
かわいい男 国家運営の要となるマザーコンピュータの調整及び宇宙連合による承認が完了し、実務を担当する各役職の後任を選定し、引き継ぎ内容を記したマニュアルの監修を行い——ようやっと、僕は政の表舞台から降りることを許された。新しい体制が軌道に乗るまでそれなりに時間はかかるだろうなとは思っていたし、決して旧政府派に寝返らない僕の代わりとなる人間だって、そう簡単には見つからないと予想はしていた。結局のところその考えは当たっていて、僕達が新政府におけるキーパーソンという立ち位置から解放され、ただのラキオとレムナンに戻ったのは、革命記念日となったあの日から五年も後のことだった。これでも過去に他国で人間中心社会から擬知体中心社会へと移行した際の混沌具合に比べれば、グリーゼの変革は比較的スムーズに行われた方らしい。
8253abicocco
PAST※ノーマルEND軸革命中&革命後レムラキ。催涙ガスで涙が止まらなくなった日の話。
事後の描写が含まれます。
稀泣き 隊員を引き連れて支部へと出掛けていたラキオさんが戻ってきたとの報せを受け、僕が入り口まで迎えに行くと、その時点でかの人の頬は随分と濡れていた。照明が直接あたっているところなんかは水の通り道がはっきり視認できるほどだったので僕は困惑した。髪や服は濡れていないから、天候や放水が原因でないことは分かる。そんな遠回しな推察をせずとも、一目見れば誰にでも分かるくらい、その人の頬がしとどに濡れている理由は明らかだった。
「ら、ラキオさん? 何があったんですか……」
僕の前に立つその人の二つの目からは現在進行形で次々と新しい滴が生まれてはこぼれ落ちている。眼球の外へと溢れ出た透明な体液は頬の上を滑り、顎先をつたってシャツの襟や地面に小さなシミを作っていった。その一粒一粒はごく限られた量なのだけれど、とめどなく湧き出ているせいで、美しく整った顔はすっかり濡れそぼっていた。
3262「ら、ラキオさん? 何があったんですか……」
僕の前に立つその人の二つの目からは現在進行形で次々と新しい滴が生まれてはこぼれ落ちている。眼球の外へと溢れ出た透明な体液は頬の上を滑り、顎先をつたってシャツの襟や地面に小さなシミを作っていった。その一粒一粒はごく限られた量なのだけれど、とめどなく湧き出ているせいで、美しく整った顔はすっかり濡れそぼっていた。
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PAST※ノーマルEND軸革命後交際中レムラキ革命一周年記念グッズ案と裸体像の話。
アニバーサリーギフト グリーゼ中枢部の中でも最も重要な機構が集中しているメイン船。その中の二階に位置する第一会議室では現在、とある打ち合わせが行われていた。長机三つをくっつけて作られたスペースには所狭しと物が並べられている。そのラインナップは様々で、指先でつまめるサイズのピンバッジから350ミリリットル用のマグカップ、はては一尺ほどの嵩がありそうな存在感あるフィギュアまで、ありとあらゆる雑貨が綺麗に陳列されていた。そこにあるものは一見何の関連性もないように思える品々であったが、それらはどれもがふたりの人物をイメージし作られたという点で共通していた。
「いかがでしょう? おふたりの率直なご意見を聞かせていただきたいです!」
3861「いかがでしょう? おふたりの率直なご意見を聞かせていただきたいです!」
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PAST※ノーマルEND軸革命後交際中レムラキレムと同じ名前の擬知体と一週間共に暮らすことになった話。ネームドモブが名前だけ登場します。
君の名を呼ぶ「レムナン」
何してるの、とラキオが続きを声に出す前にピピッという電子音とそれに焦ったような男の声とが室内に響いた。
「識別名・レムナン——登録完了シマシタ。今後、御用の際はレムナンと呼び掛けてクダサイ」
「あぁ~……」
なにやら困り声をあげているレムナンの後ろからラキオが作業部屋の中を覗き込むと、電子音の正体は見慣れない擬知体であった。そのフォルムや先程耳にした音声からして、それが新品ではなく誰かに所持されていたもしくは現在進行形で所持されている数世代前の旧式モデルであることは明白だ。
「どうしたんだいそれ。ジャンク品?」
「職場の倉庫を整理したら出てきて……。ラウドさんがまだ使えるなら欲しいって言うからメンテナンスの為に一度持ち帰ってきたんです」
4857何してるの、とラキオが続きを声に出す前にピピッという電子音とそれに焦ったような男の声とが室内に響いた。
「識別名・レムナン——登録完了シマシタ。今後、御用の際はレムナンと呼び掛けてクダサイ」
「あぁ~……」
なにやら困り声をあげているレムナンの後ろからラキオが作業部屋の中を覗き込むと、電子音の正体は見慣れない擬知体であった。そのフォルムや先程耳にした音声からして、それが新品ではなく誰かに所持されていたもしくは現在進行形で所持されている数世代前の旧式モデルであることは明白だ。
「どうしたんだいそれ。ジャンク品?」
「職場の倉庫を整理したら出てきて……。ラウドさんがまだ使えるなら欲しいって言うからメンテナンスの為に一度持ち帰ってきたんです」
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PAST※ノーマルEND軸革命中レムラキレムがリーダーになった理由とその原動力についての話
突き動かすもの 第二級白質市民であるラキオが裏で反政府運動に関わっていることが政府関係者の知るところとなった。
レムナンがそのことを聞かされたのは月曜日の朝のことだった。一週間の始まりの日。いつもの時間に起床していつもの席で朝食を摂っていたレムナンの前に、身支度をすっかり整えた隙一つないいつも通りのいでたちのラキオがやってきて、平坦な声で言った。
「政府から呼び出しを受けたから、今日からしばらく留守にするよ」
当人があまりにもなんでもないことのように、それこそ寄り道するから帰りが遅くなることを報告する時と同じようなトーンで言うものだから、レムナンははじめ事態の深刻さに気付くことができなかった。あぁ、はい。分かりました……なんて平々凡々とした返事を寄越そうと開いた口が何の音も発さぬまま中途半端な形で固まると、その隙間からはくりと空気だけを吐き出した。ワンテンポ遅れてラキオが告げた内容の重大さに気付いたレムナンは、大きく見開いた両の眼で傍らに立つその人を仰ぎ見た。
7285レムナンがそのことを聞かされたのは月曜日の朝のことだった。一週間の始まりの日。いつもの時間に起床していつもの席で朝食を摂っていたレムナンの前に、身支度をすっかり整えた隙一つないいつも通りのいでたちのラキオがやってきて、平坦な声で言った。
「政府から呼び出しを受けたから、今日からしばらく留守にするよ」
当人があまりにもなんでもないことのように、それこそ寄り道するから帰りが遅くなることを報告する時と同じようなトーンで言うものだから、レムナンははじめ事態の深刻さに気付くことができなかった。あぁ、はい。分かりました……なんて平々凡々とした返事を寄越そうと開いた口が何の音も発さぬまま中途半端な形で固まると、その隙間からはくりと空気だけを吐き出した。ワンテンポ遅れてラキオが告げた内容の重大さに気付いたレムナンは、大きく見開いた両の眼で傍らに立つその人を仰ぎ見た。
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PAST※ノーマルEND軸革命後レムラキ+巻き込まれ沙明『勝手にヤってろ』(https://poipiku.com/4491035/9845060.html)の後日談。沙明アドバイスに基づいて、自分優位の性行為に挑戦したラキオが撃沈するR18話。前半はラキオが積極的ですが、後半は若干レムナンが言葉攻め臭くなっています。あとレムナンと沙明の折り合いが悪いです。
Pass:18↑? 11365
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PAST※ノーマルEND軸革命後のレムラキ『Be together as one』(https://poipiku.com/4491035/9741037.html)とゆるーく繋がってる後日談的な話
No problem but it's so... 週に一度、気分が乗ったときには週に二度。夜時間のうち一時間ほど、ラキオはレムナンの横でコントローラーを握る。元はシャワー上がりに火照る身体を冷ます間、暇つぶしにとレムナンがプレイするゲーム画面を見ているだけだったはずが、ラキオが興味を持ったと勘違いをしたレムナンに「少しだけやってみますか」とそそのかされ、いつの間にか協力プレイの頭数にまで入れられていた。
しげみちやジョナスほどではないにしろ、そこそこのゲームフリークと呼べるレムナンは、ひとりで黙々とやり込むことが好きなのかと思い込んでいたが、誰かと一緒に遊ぶことも嫌いではないらしい。はじめて持たされた数世代前のコントローラーに対し「何これ。重たいしスティックの可動域も狭いし、操作性最悪じゃないか」などと早速文句をつけているラキオを前にしても、レムナンはそれを咎めるでもなくどこか嬉し気に遊び方を教えていた。
5329しげみちやジョナスほどではないにしろ、そこそこのゲームフリークと呼べるレムナンは、ひとりで黙々とやり込むことが好きなのかと思い込んでいたが、誰かと一緒に遊ぶことも嫌いではないらしい。はじめて持たされた数世代前のコントローラーに対し「何これ。重たいしスティックの可動域も狭いし、操作性最悪じゃないか」などと早速文句をつけているラキオを前にしても、レムナンはそれを咎めるでもなくどこか嬉し気に遊び方を教えていた。
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PAST※ノーマルEND軸革命後のレムラキ※名の無いモブが喋る
「ずっと一緒にいましょう」を口にするレムナンと、言うまでもなく当然一緒にいるものだと思い込んでいたラキオの話
Be together as one 資源が尽き未来がないとされていたとある惑星から、最新鋭の技術を駆使し作り上げた宇宙船で脱出した知識人の集まり——グリーゼ船団国家。新興国として独立して以来長年続いてきた旧支配体制が打ち捨てられた新制グリーゼでは、近頃、とあるサービスが流行り始めていた。
「リーダー聞いてくださいよ。俺、今度、弟に会いに行くんすよ」
「え。弟さん、いたんですね……?」
「はは。俺も最近知ったばっかで」
どういうことかと不思議そうな顔をする革命軍の元上司を相手に、元隊員の彼は少し照れ臭そうに笑った。
「最近流行ってるんすよ。血縁上の家族と引き合わせてくれるマッチングサービス。俺達は生まれた瞬間から国から厳重に管理されてきたから、親の顔もろくに知らないのが普通で。まぁ……でも、その管理体制が崩れたとなったら、やっぱり気になるじゃないっすか。自分と繋がりのある身内って奴が」
3730「リーダー聞いてくださいよ。俺、今度、弟に会いに行くんすよ」
「え。弟さん、いたんですね……?」
「はは。俺も最近知ったばっかで」
どういうことかと不思議そうな顔をする革命軍の元上司を相手に、元隊員の彼は少し照れ臭そうに笑った。
「最近流行ってるんすよ。血縁上の家族と引き合わせてくれるマッチングサービス。俺達は生まれた瞬間から国から厳重に管理されてきたから、親の顔もろくに知らないのが普通で。まぁ……でも、その管理体制が崩れたとなったら、やっぱり気になるじゃないっすか。自分と繋がりのある身内って奴が」
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PAST※ノーマルEND軸革命前のレムラキ友好関係が築かれつつあるふたり
大停電の夜のこと 元は何の変哲もない夜だった。第四と五の区画を繋ぐ船間連結部の定期メンテナンスを概ね予定時刻通りに終わらせたレムナンは、使い込んでほどよくくたびれてきた革製の仕事鞄を肩に掛け、帰路についた。帰る先はカナン579メインドーム、シングル用深宇宙探査船に続き、彼にとって第三の家となって久しいグリーゼの管理下にある居住船の一角だ。レムナンは玄関からまっすぐ続くリビングのドアをくぐると同時に、既に学校から帰ってきているであろう同居人に向かって「ただいま」と帰宅の合図を出した。しかしながら、その人物の定位置であるソファの上に彼の期待していた姿は見当たらなかった。
「あれ? ……あぁ、シャワー室か」
オーバル型のローテーブルの上に置き去りにされたアームカバーを見て、レムナンはラキオの居場所にすぐに思い当たった。いつもより随分早いシャワータイムだななどと考えながら、少し目を細めて壁際の時計で今の時刻を確認する。たしか今日は校内で代替未来エネルギーについてのディベート大会があると昨晩話していたから、きっと侃侃諤諤の議論で蓄積した疲労や雑念を湯で洗い流しているのだろう。
7788「あれ? ……あぁ、シャワー室か」
オーバル型のローテーブルの上に置き去りにされたアームカバーを見て、レムナンはラキオの居場所にすぐに思い当たった。いつもより随分早いシャワータイムだななどと考えながら、少し目を細めて壁際の時計で今の時刻を確認する。たしか今日は校内で代替未来エネルギーについてのディベート大会があると昨晩話していたから、きっと侃侃諤諤の議論で蓄積した疲労や雑念を湯で洗い流しているのだろう。
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PAST※ノーマルEND軸革命中のレムラキ※2023/12/14公開の🎃×ゲーム開発スタッフさんの対談動画のネタを含みます。
飛んでかないように 国内トップのエスカレーター式教育機関の高等部。その中でも一握りの成績優秀者にだけ与えられた貴重な社会見学の機会。
そういった名目でラキオとそのほか十数名の生徒がある日教師に連れてこられたのは、テラフォーミング計画で使用されているロケットの発射場だった。管理首輪で抵抗の意思すら奪われた、グリーゼから不要の烙印を押された国民たちがタラップを上り順に乗り込んでいくところを、生徒たちは管理塔の覗き窓から黙って見送る。彼らが着せられた何の装飾もない揃いの白い簡素な服がまるで死に装束のようで不気味だなと、過去文献で知った他星の葬儀の様子を思い出しながら、ラキオもその現実味に欠けた光景をどこか他人事のように眺めていた。今回打ち上げ対象として選定された人間の多くは肉塊市民だが、それ以外の階級の者も少数ながら混じっているらしい。国産の最新ロケット技術の素晴らしさや、各地で進行中のパラテラフォーミング計画の実現性について先程から熱心に概念伝達装置を通じて語りかけてくる職員の解説を適当に聞き流している中で、ラキオは小さく「あ」と声をあげた。覗き窓の向こう、だんだんと短くなっていくロケットまで伸びる列の後方部に見慣れた人物を見つけたからだ。
4327そういった名目でラキオとそのほか十数名の生徒がある日教師に連れてこられたのは、テラフォーミング計画で使用されているロケットの発射場だった。管理首輪で抵抗の意思すら奪われた、グリーゼから不要の烙印を押された国民たちがタラップを上り順に乗り込んでいくところを、生徒たちは管理塔の覗き窓から黙って見送る。彼らが着せられた何の装飾もない揃いの白い簡素な服がまるで死に装束のようで不気味だなと、過去文献で知った他星の葬儀の様子を思い出しながら、ラキオもその現実味に欠けた光景をどこか他人事のように眺めていた。今回打ち上げ対象として選定された人間の多くは肉塊市民だが、それ以外の階級の者も少数ながら混じっているらしい。国産の最新ロケット技術の素晴らしさや、各地で進行中のパラテラフォーミング計画の実現性について先程から熱心に概念伝達装置を通じて語りかけてくる職員の解説を適当に聞き流している中で、ラキオは小さく「あ」と声をあげた。覗き窓の向こう、だんだんと短くなっていくロケットまで伸びる列の後方部に見慣れた人物を見つけたからだ。
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PAST※ノーマルEND軸革命後交際中のレムラキ色っぽい描写はほぼ無いですが、一応行為中のやりとりではあるのでご注意ください。
萌芽「……ン。ッレムナン! それ、やめてっ」
突如自分の下から上がった制止の声にレムナンは慌てて声の主から自分の身を離した。今、己の下に組み敷いている人物と夜の行為に及ぶようになってからもう半年ほど経つが、最中にストップをかけられたのは今までにないことだった。はじめて指と舌とで丁寧に穴をほぐされて、レムナンのものを受け入れたときでさえ、何度も大丈夫かと確認する相手に「問題ないから早く進めて」と気丈に振舞っていたあのラキオが「やめて」と言ったのだ。特に心当たりはないが、自分は一体どれほどの失態をおかしてしまったのだろう、と内心冷や汗が止まらないレムナンだったが、慌てて様子を確認した彼に待ったをかけた人物の顔には怒りや不快感といったような感情は見つけられなかった。どちらかというと困惑に近い表情を貼り付けて、シーツに影を作るレムナンの顔を見つめている。
1811突如自分の下から上がった制止の声にレムナンは慌てて声の主から自分の身を離した。今、己の下に組み敷いている人物と夜の行為に及ぶようになってからもう半年ほど経つが、最中にストップをかけられたのは今までにないことだった。はじめて指と舌とで丁寧に穴をほぐされて、レムナンのものを受け入れたときでさえ、何度も大丈夫かと確認する相手に「問題ないから早く進めて」と気丈に振舞っていたあのラキオが「やめて」と言ったのだ。特に心当たりはないが、自分は一体どれほどの失態をおかしてしまったのだろう、と内心冷や汗が止まらないレムナンだったが、慌てて様子を確認した彼に待ったをかけた人物の顔には怒りや不快感といったような感情は見つけられなかった。どちらかというと困惑に近い表情を貼り付けて、シーツに影を作るレムナンの顔を見つめている。
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PAST※ノーマルEND軸革命後交際中のレムラキレムが初めて酒で失敗した翌朝の話。
それみたことか(だから、僕は止めたじゃないか)
ラキオより二十分ほど遅れて目を覚ました隣の男は、呆けた顔でまだ眠気の抜けきらないとろりとした瞬きを何度か繰り返したのち、のそりと身体を起こした。覚醒したての彼が緩慢な動きで自分と、それからラキオの格好を見て、みるみるうちに顔を青く染めていく様を目にして……ラキオは小さく溜息を吐いた。
「ら、ラキオさ……。あの、その、ぼ、僕、は」
「……おはようレムナン。元気そうだね。見たところ二日酔いの症状も出ていないようでなによりだよ」
ラキオの言う通り、レムナンの顔や体臭には昨晩あれだけ摂取したアルコールの気配は残されていなかった。彼の肝臓は働き者らしい。
昨日の晩、珍しく……そう、本当に珍しく。レムナンとラキオは家で晩酌を楽しんだ。というのも先日外星系への調査のついでにグリーゼに立ち寄ったという沙明が置き土産として、彼が現在身を置いているというナダ産の飲食物をふたりの家にいくらか残していったのだ。グリーゼと違って未だ自然光で作物栽培が行われ、一次産業が国の経済をまわすのに一役買っていると聞くナダで作られたワインは、会食や社交場で提供されるような合成品とは違い、強く芳醇な葡萄の香りがした。
3579ラキオより二十分ほど遅れて目を覚ました隣の男は、呆けた顔でまだ眠気の抜けきらないとろりとした瞬きを何度か繰り返したのち、のそりと身体を起こした。覚醒したての彼が緩慢な動きで自分と、それからラキオの格好を見て、みるみるうちに顔を青く染めていく様を目にして……ラキオは小さく溜息を吐いた。
「ら、ラキオさ……。あの、その、ぼ、僕、は」
「……おはようレムナン。元気そうだね。見たところ二日酔いの症状も出ていないようでなによりだよ」
ラキオの言う通り、レムナンの顔や体臭には昨晩あれだけ摂取したアルコールの気配は残されていなかった。彼の肝臓は働き者らしい。
昨日の晩、珍しく……そう、本当に珍しく。レムナンとラキオは家で晩酌を楽しんだ。というのも先日外星系への調査のついでにグリーゼに立ち寄ったという沙明が置き土産として、彼が現在身を置いているというナダ産の飲食物をふたりの家にいくらか残していったのだ。グリーゼと違って未だ自然光で作物栽培が行われ、一次産業が国の経済をまわすのに一役買っていると聞くナダで作られたワインは、会食や社交場で提供されるような合成品とは違い、強く芳醇な葡萄の香りがした。
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PAST※ノーマルEND軸革命前のレムラキレムがグリーゼに来てからラキが革命を起こすまでに二人の間で発生したやりとりについての想像
ブロカント「レムナン。作業ペースが通常時の八十パーセントまで落ちています。休息を取りますか?」
今日は各船を繋ぐ自動走行路の定期メンテナンスで地下へと潜る日だった。僕がこの国にやってきてから、そして擬知体を含む機械全般の整備士として働き始めてから、もう何度もこなしてきた仕事だ。それにも関わらず、いや、慣れている作業だからこそか、いつも僕の業務に同行してくれているサポート擬知体から集中力の欠如を指摘されてしまった。
「いえ……。いや、そう、ですね。昼休憩にしましょうか」
作業が丁度キリのいいところだったこともあり、彼女の提案に甘えることにした僕は工具箱を脇に避けて作業用のグローブを外すと、持ち込んだランチボックスからマッケンチーズをフォークでつついた。鮮温キープ機能のある優秀な容器のおかげで、チーズと胡椒をまとったマカロニとベーコンはフードプリンターから出てきたばかりの今朝と変わりない姿で湯気を立ちのぼらせている。食欲を刺激する濃厚なチーズのジャンクな香りは僕の好物に違いないのに、食事の手はなかなか進まなかった。
9047今日は各船を繋ぐ自動走行路の定期メンテナンスで地下へと潜る日だった。僕がこの国にやってきてから、そして擬知体を含む機械全般の整備士として働き始めてから、もう何度もこなしてきた仕事だ。それにも関わらず、いや、慣れている作業だからこそか、いつも僕の業務に同行してくれているサポート擬知体から集中力の欠如を指摘されてしまった。
「いえ……。いや、そう、ですね。昼休憩にしましょうか」
作業が丁度キリのいいところだったこともあり、彼女の提案に甘えることにした僕は工具箱を脇に避けて作業用のグローブを外すと、持ち込んだランチボックスからマッケンチーズをフォークでつついた。鮮温キープ機能のある優秀な容器のおかげで、チーズと胡椒をまとったマカロニとベーコンはフードプリンターから出てきたばかりの今朝と変わりない姿で湯気を立ちのぼらせている。食欲を刺激する濃厚なチーズのジャンクな香りは僕の好物に違いないのに、食事の手はなかなか進まなかった。
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PAST※ノーマルEND軸革命後レムラキ。交際を始めた途端好意を隠さなくなったレムの態度に戸惑うラキの話。
過剰表出「ここ最近の君の態度に僕はどう向き合うべきなのか、正直考えあぐねている」
自身の考えを述べる際、その大体が結論から入る人の口から出た発言にしては珍しい、ラキオさんらしくなく要領を得ない言葉に不意を突かれた僕は狼狽の色を隠せなかった。
僕が長い間自分の中に留め続けてきた恋心をラキオさんに打ち明けてから——正確には気持ちを言い当てられ白状せざるを得ない状況に追い込まれてから——ひと月。未だに信じ難いことだけれど、ラキオさんは僕の告白を受け入れてくれた。恋人になったからと言って見返りを求めるつもりはないし、汎性である相手に恋愛感情が芽生えることを期待しているわけでもない。ただ僕は、ラキオさんが僕の気持ちを否定せずに聞き入れてくれたことが何よりも嬉しかった。くだらないと一蹴することも、なかったことにして距離を置くこともできただろうに、そのどちらの方法も取らずに、かの人にとっては恐らく一番面倒で手のかかる選択をしてくれた。
3286自身の考えを述べる際、その大体が結論から入る人の口から出た発言にしては珍しい、ラキオさんらしくなく要領を得ない言葉に不意を突かれた僕は狼狽の色を隠せなかった。
僕が長い間自分の中に留め続けてきた恋心をラキオさんに打ち明けてから——正確には気持ちを言い当てられ白状せざるを得ない状況に追い込まれてから——ひと月。未だに信じ難いことだけれど、ラキオさんは僕の告白を受け入れてくれた。恋人になったからと言って見返りを求めるつもりはないし、汎性である相手に恋愛感情が芽生えることを期待しているわけでもない。ただ僕は、ラキオさんが僕の気持ちを否定せずに聞き入れてくれたことが何よりも嬉しかった。くだらないと一蹴することも、なかったことにして距離を置くこともできただろうに、そのどちらの方法も取らずに、かの人にとっては恐らく一番面倒で手のかかる選択をしてくれた。
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PAST※ノーマルEND軸革命後交際中レムラキ食事と口内炎とキスの話
舌先の警鐘 卒業研究のメイン題材に選んだ銀の鍵の実物を引き取るため生まれて初めて国外へと出た僕は、この世にはまだ食事という行為に執着している人類がこんなにも存在するのかと、自国とのギャップに随分驚かされたものだ。グリーゼでは主流とされている最も効率的なサプリ食が宇宙規模で見れば少数派に分類されることがどうにも解せなかった。一時滞在したルゥアン星系でも、そこで突如発生したグノーシア騒動から逃れるためにやむなく緊急乗船した古臭い宇宙船D.Q.O.でも、僕以外の人——人型ではない生物も一部混じっていたが、ここでは等しく『人』と表現することとする——は皆一様に提供された食事を何の抵抗もなく口に運んでいた。その中でも特に目についたのが今現在、ワケあってグリーゼで生活を共にしている男、レムナンだ。D.Q.O.でグノーシアの脅威から逃れることに成功した船長と船員を含む乗員十四名は、船内にグノーシア汚染者がいないことが確定された晩、その幸運を祝してささやかな宴を催すことにした。とはいえ、イートフェチではない僕は水の入ったグラスを片手に談笑し、一見無益な会話の中から普段関わりのない他星系人の生態や文化レベルの情報を探ることくらいにしか楽しみを見出すことができずにいたわけだけれど、今回の旅中で人の食事風景を見慣れ始めていた僕もその男の皿が視界に入ってきた時には流石にギョッとした。
7844abicocco
PAST※ノーマルEND軸革命後交際中レムラキ寝てるラキの指のサイズをはかるレムの話。
鈍色の輪っか 兎にも角にも、言い訳を、させてほしい。
なにも本当に、贈り物をしようと考えて取った行動ではなかった。決して僕のアレはそんな、計画的なものなんかじゃあなくて、ただ衝動的に……意味もなく行った戯れに近い何かだったのだ。
共用スペースで軽く機械いじり——仕事ではなく趣味の方——をしていた僕の横で、宙に投映していたニュース放送をぼうと眺めていたその人が、いつの間にかテーブルに突っ伏して小さく寝息を立てていることに気が付いて、自分で移動するにしろ僕が寝室まで運ぶにしろ、ひとまずは起こそうと傍まで寄ったとき、ふと無防備に投げ出されたままの左手に目がいった。これまで一度も日に焼けたことがないのだろう、この世に生まれ落ちた時のままの白みがかったやわらかな肌色をした手は、平均的な男性の手のサイズに比べると幾分華奢で小ぶりに見える。ココが生まれ故郷であるラキオさんと違って、グリーゼでの生活歴が浅い僕には詳しい事情までは分からないけれど、身体的汎化処置は未だ受けていない身でも、汎向けに国から支給されたサプリメントやホルモン抑制剤を長年摂取してきた影響はそれなりに大きいのだろう。
2809なにも本当に、贈り物をしようと考えて取った行動ではなかった。決して僕のアレはそんな、計画的なものなんかじゃあなくて、ただ衝動的に……意味もなく行った戯れに近い何かだったのだ。
共用スペースで軽く機械いじり——仕事ではなく趣味の方——をしていた僕の横で、宙に投映していたニュース放送をぼうと眺めていたその人が、いつの間にかテーブルに突っ伏して小さく寝息を立てていることに気が付いて、自分で移動するにしろ僕が寝室まで運ぶにしろ、ひとまずは起こそうと傍まで寄ったとき、ふと無防備に投げ出されたままの左手に目がいった。これまで一度も日に焼けたことがないのだろう、この世に生まれ落ちた時のままの白みがかったやわらかな肌色をした手は、平均的な男性の手のサイズに比べると幾分華奢で小ぶりに見える。ココが生まれ故郷であるラキオさんと違って、グリーゼでの生活歴が浅い僕には詳しい事情までは分からないけれど、身体的汎化処置は未だ受けていない身でも、汎向けに国から支給されたサプリメントやホルモン抑制剤を長年摂取してきた影響はそれなりに大きいのだろう。
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MEMO偽装交際あとがき+レムラキへの所感 蛇足とは思うけど、本文内に組み込み切れなかった情報などを残しときたかったのであとがき……というかレムラキに対しての解釈と願望をここに。
かつて愛玩物として飼われていた頃のトラウマから性的欲求や支配欲に強い恐怖心を抱いているレムナンと、自身に最も適した魂の形として第三の性である『汎』を選択し、恋愛感情やそれに付随する欲を持っていないラキオ。そんな二人だからこそ、D.Q.O.の中で生じたループ中、時折謎の絆を見せつけ、ノーマルエンドの後日譚では我々を混乱の渦に陥れてくれたのだと思っています。が、互いに一定の距離感を保ちながら良好な関係を築いている二人がより近しい間柄になるところが見たい……ッなぜなら私は強欲なオタクだから……。
1753かつて愛玩物として飼われていた頃のトラウマから性的欲求や支配欲に強い恐怖心を抱いているレムナンと、自身に最も適した魂の形として第三の性である『汎』を選択し、恋愛感情やそれに付随する欲を持っていないラキオ。そんな二人だからこそ、D.Q.O.の中で生じたループ中、時折謎の絆を見せつけ、ノーマルエンドの後日譚では我々を混乱の渦に陥れてくれたのだと思っています。が、互いに一定の距離感を保ちながら良好な関係を築いている二人がより近しい間柄になるところが見たい……ッなぜなら私は強欲なオタクだから……。
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PAST※ノーマルEND革命後のレムラキ※今回も名のないモブ達がそこそこ喋ります
まわりに恋人と偽っていたふたりの話、これにて完結です!お付き合いありがとうございました。別途あとがきにて設定などの小ネタを公開してるのでよければそちらも合わせてどうぞ。
https://poipiku.com/4491035/9387278.html
偽装交際4(終) ラキオはいつも決まった時間に床に就き、決まった時間に起床する。先日、レムナンの相談に乗ってやったあの夜のような例外を除いて、自身のパフォーマンスを良い状態で保つためにも、無意味な夜更かしも逆に惰眠をむさぼるようなこともしないというのがラキオのポリシーだ。今朝も午前六時きっかりに自然と目を覚ましたラキオは、わずかに乱れた寝具を元通りにセットし直したのち、ロールスクリーンを上げて窓から明かりを取り込んだ。室内履きとして使用している踵のない靴をつっかけて、廊下へと出たラキオは洗面所で顔を洗うと、その場で服をすべて脱ぎ、生まれたままの姿になって鏡の前に立った。こうして、毎朝自身の体に不調がないことを確認するのは、まだラキオが学生だった頃に毎週学内で行われていた旧グリーゼ式の健診と面談の名残だ。特に異常がないことを確認して、下着から順に普段着を身に纏ったラキオは、まだ自身の体温がわずかに残っている寝間着を洗濯籠へと放り込み、その場をあとにした。
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PAST※ノーマルEND革命後のレムラキ前回の続きでまわりに恋人と偽ってるふたり。
今回のキーワードは『遊園地』『ナンパ』です。
続き→https://poipiku.com/4491035/9387275.html
偽装交際3 人間が生まれ持った慣れという習性は逞しいものだ。はじめはあれだけラキオの『あーん』にまごついていたレムナンも、外食のたび同じ行為を繰り返されるうちに、今では自ら口を開けて待つようになった。すっかり今の特殊な状況に順応したレムナンの態度を「相変わらず君は神経が太い」と評して、面白くなさそうに彼の口へとスプーンを差し込むラキオも、恋人役が随分板についてきたようだ。
ラキオが示した恋人として正しい距離感を演じるため、今のふたりの物理的距離は関係を結ぶ前と比べて大分近い。テーブルを挟み向かい合って座っていた食事の席は隣同士に。人一人分の空間を空けていたふたりのパーソナルスペースは拳二つ分にまで縮まった。そして、それと同時に互いの身体が触れ合う機会も自然と増えた。隣に座っていれば『あーん』をしていない時でも、ふとした瞬間に肩が触れ合ったり、相手の髪の香り——同じ洗髪剤を使用しているため、香り自体は自分が纏っているものと同じはずなのだが——を感じたりすることもあるし、すぐ近くで歩いていれば内側にある手同士が意図せず当たってしまうことだってある。
7626ラキオが示した恋人として正しい距離感を演じるため、今のふたりの物理的距離は関係を結ぶ前と比べて大分近い。テーブルを挟み向かい合って座っていた食事の席は隣同士に。人一人分の空間を空けていたふたりのパーソナルスペースは拳二つ分にまで縮まった。そして、それと同時に互いの身体が触れ合う機会も自然と増えた。隣に座っていれば『あーん』をしていない時でも、ふとした瞬間に肩が触れ合ったり、相手の髪の香り——同じ洗髪剤を使用しているため、香り自体は自分が纏っているものと同じはずなのだが——を感じたりすることもあるし、すぐ近くで歩いていれば内側にある手同士が意図せず当たってしまうことだってある。
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PAST※ノーマルEND革命後のレムラキ前回の続きでまわりに恋人と偽ってるふたり。
名前はついていませんが、今回モブが結構喋ります。あと革命後の二人の職業についての捏造等も含みます。
続き→https://poipiku.com/4491035/9378838.html
偽装交際2 ラキオがふたりの予定表に印をつけた一番近い日付は、彼らが偽装の恋人関係を結んだ三日後のことだった。グリーゼの学校教育の指針を定め、現場で上がっている問題に対応する教育行政機構に籍を置き、本業の傍ら趣味と実益を兼ねた研究を続けているラキオと、派遣型のメカニック団体に所属し、リスト化された依頼の中から選んだ仕事を日々こなしているレムナンとでは、働き方のスタイルからして随分と違ったが、会議の多いラキオの職に比べると基本は個人での行動となるレムナンの方が時間の融通が利いた。その日もラキオの終業時間に合わせレムナンが職場前までバイクで迎えに来て、そこから一緒にレストランへと向かう……という手筈となっていた。
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PAST※ノーマルEND革命後のレムラキ一緒に暮らしているが寝室は別。名前の無い関係のまま良好な付き合いを続けていた二人が、ある日レムがモブ女から強引に迫られた事件をきっかけに、周りの目を欺くため偽装の恋人を演じる話。
続き→https://poipiku.com/4491035/9373864.html
偽装交際1『夕飯を食べてから帰るので予定より帰りが遅くなります』
レムナンからのメッセージを受信したラキオは、チラリと横目で通知のポップアップだけを確認すると、つい今しがた目を通していた今年度の宇宙学会で公表された論文へとすぐに視線を戻した。ラキオが休みでレムナンだけが出勤の日、彼が仕事帰りに全国でもまだ数少ない大衆食堂で食事を済ませてくることはこれまでにも時々あったし、大方今日も帰りがけに見た日替わりメニューの看板に惹かれてつい立ち寄ってしまったとかそんなところだろう。彼から届いた短い報せをラキオはそんな風に軽く受け流していた。
それゆえに読んでいた論文が最終章のまとめに入るあたりで、玄関から駆け込んできたらしきレムナンがそのままトイレへと直行し、げえげえと耳障りな音を廊下のこちら側にまで響かせているのに気付いたときには、流石のラキオも何事かと面食らった。
5939レムナンからのメッセージを受信したラキオは、チラリと横目で通知のポップアップだけを確認すると、つい今しがた目を通していた今年度の宇宙学会で公表された論文へとすぐに視線を戻した。ラキオが休みでレムナンだけが出勤の日、彼が仕事帰りに全国でもまだ数少ない大衆食堂で食事を済ませてくることはこれまでにも時々あったし、大方今日も帰りがけに見た日替わりメニューの看板に惹かれてつい立ち寄ってしまったとかそんなところだろう。彼から届いた短い報せをラキオはそんな風に軽く受け流していた。
それゆえに読んでいた論文が最終章のまとめに入るあたりで、玄関から駆け込んできたらしきレムナンがそのままトイレへと直行し、げえげえと耳障りな音を廊下のこちら側にまで響かせているのに気付いたときには、流石のラキオも何事かと面食らった。
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PAST※ノーマルEND革命後のグリーゼにて交際中のレムラキ。グリーゼの医療制度などについて想像で好き勝手書いています。はじめて熱を出したラキとはじめて人の看病をするレムの話。
平熱+3℃ ピピピ。 接触タイプの体温計が測定完了の合図を出したのを聞いて、僕は自身の額から薄っぺらいカードのようなそれを回収すると、そこに表示されている数字を確認した。
「39.2℃……」
昼に飲んだ解熱剤が切れたからだろう、また熱が上がっている。頭痛、発熱、眩暈——今グリーゼで流行中の宇宙風邪の症状にしっかり当てはまっている。
「まさかこの歳で寝込むほどの体調不良を起こすとはね……」
ガンガンと脳を揺らし思考を阻害する鈍い頭の痛みに、深いため息をひとつ吐いて、僕は瞼を閉じた。
この国の白質市民を相手に施される高等教育は全宇宙規模で見ても相当にレベルが高く、課題内容も授業の進行速度も厳しいと言われていた。グリーゼの学生に休んでいる暇はなく、ましてや娯楽に興じる余裕などあろうはずもない。体調不良による欠席の可能性など一切考慮されていない教育カリキュラムは、一日でも授業を欠席するとあとから遅れを取り戻すのは相当に面倒だし、生憎とこの閉鎖的社会の中じゃあ、レムナンが好む映画や小説をはじめとするフィクションの世界に出てくる、休んだ分のサポートをしてくれる親切な同級生など存在しなかった。誰がはじめに言い出したのか、他星系から『超階級国家』と呼ばれ、畏敬と畏怖が入り混じった眼差しで遠巻きに見られていたようなこの国で生き延びていくために、誰もが自分の力で自分一人分の将来を切り拓くだけで精一杯だった。
5197「39.2℃……」
昼に飲んだ解熱剤が切れたからだろう、また熱が上がっている。頭痛、発熱、眩暈——今グリーゼで流行中の宇宙風邪の症状にしっかり当てはまっている。
「まさかこの歳で寝込むほどの体調不良を起こすとはね……」
ガンガンと脳を揺らし思考を阻害する鈍い頭の痛みに、深いため息をひとつ吐いて、僕は瞼を閉じた。
この国の白質市民を相手に施される高等教育は全宇宙規模で見ても相当にレベルが高く、課題内容も授業の進行速度も厳しいと言われていた。グリーゼの学生に休んでいる暇はなく、ましてや娯楽に興じる余裕などあろうはずもない。体調不良による欠席の可能性など一切考慮されていない教育カリキュラムは、一日でも授業を欠席するとあとから遅れを取り戻すのは相当に面倒だし、生憎とこの閉鎖的社会の中じゃあ、レムナンが好む映画や小説をはじめとするフィクションの世界に出てくる、休んだ分のサポートをしてくれる親切な同級生など存在しなかった。誰がはじめに言い出したのか、他星系から『超階級国家』と呼ばれ、畏敬と畏怖が入り混じった眼差しで遠巻きに見られていたようなこの国で生き延びていくために、誰もが自分の力で自分一人分の将来を切り拓くだけで精一杯だった。
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PAST※ノーマルEND後グリーゼにて同棲している交際中のレムラキ人の三大欲求のうち二つを持っていないラキの欲がどこにいったのかという話。行為本番はでてこないものの、かなり俗っぽいやりとりをしています。
2/3の欲 食欲・睡眠欲・性欲——これらは人間が生きていく上で欠かせない、最も重要な三大欲求として定義されている。
それじゃあ、それらの理から外れ、食欲・性欲とは無縁の人生をこの国で送ってきたラキオさんの欲は何をもって補われているのだろう?
すぅすぅと小さな寝息をたてながら、すっかり熟睡している様子の隣の寝顔をぼうと眺めながら、僕は自分の中に突如湧いたその疑問と向き合っていた。ラキオさんと違って、眠りが浅く寝つきも悪い僕は、自分ひとりではすぐに答えが出せないような考え事をしながら、眠気が訪れるまで暗闇の中でじっと待つのが習慣となっていた。これでも、ラキオさんと一緒に眠るようになってからは、長い付き合いを続けてきた僕の不眠症も随分症状が軽くなったのだけれど。
3789それじゃあ、それらの理から外れ、食欲・性欲とは無縁の人生をこの国で送ってきたラキオさんの欲は何をもって補われているのだろう?
すぅすぅと小さな寝息をたてながら、すっかり熟睡している様子の隣の寝顔をぼうと眺めながら、僕は自分の中に突如湧いたその疑問と向き合っていた。ラキオさんと違って、眠りが浅く寝つきも悪い僕は、自分ひとりではすぐに答えが出せないような考え事をしながら、眠気が訪れるまで暗闇の中でじっと待つのが習慣となっていた。これでも、ラキオさんと一緒に眠るようになってからは、長い付き合いを続けてきた僕の不眠症も随分症状が軽くなったのだけれど。
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PAST革命レムラキ最終話!楽しかったのでこの二人の設定で革命後のエピソードも書けたらいいな〜The ghost sleep somewhere 3(終) レムナンの仕入れた情報によれば、医療船で働いている者の数は人間、擬知体双方とも夜より昼の方が圧倒的に多い。そこで朝に比べると警備も手薄な夜勤組の出勤時間を狙って、レムナンも潜り込むことにした。流石に病院内で鳥のラジコンを好き勝手に喋らせるわけにもいかないので、ラキオの手で入力された内容は無線イヤホンを介して音声データとなりレムナンに届くという外仕様に変更された。出力側を変えたついでに入力側のデバイスも、レムナンが持っているのを横からラキオが入力しても周囲から見て違和感が少ないよう、旧式の携帯ゲームパッドに取り替えられた。傍から見れば職場にまで趣味を持ち込んでいるゲームフリークにしか見えないだろう。ラキオはレムナンの説明を聞いてそれでいいのかとツッコみたい気持ちに駆られたものの、自分の発言手段を奪われてはかなわないので大人しくそれらの変更を受け入れた。
7142abicocco
PAST続き。あと一話で終わる予定The ghost sleep somewhere 2 ラキオとの連絡が途絶えたその日、政府高官の呼び出しに応じたラキオは中央船へと赴いていた。革命軍側の狙いとしては、事前に収集した役職持ちの官僚たちの弱みとなりうる不正の証拠データと引き換えに、まずは灰質市民の移動制限の撤廃、および打ち上げ処分対象となる肉塊市民の年齢の引き上げを要求する予定であった。2割の白質市民、5割の灰質市民、3割の肉塊市民で構成されているグリーゼにおいて、革命の賛同者を増やすためにはまず灰質市民と肉塊市民を味方につけることが重要だ。そのためにも今回の会談では最低どちらか一方の要件だけでも相手方に飲ませる必要があった。そのような重要な話し合いの場にひとりで向かうというラキオに、当然レムナンは何かあったらどうするんですかと反対した。
7708abicocco
PASTノーマルエンド後、グリーゼにて革命中のレムラキ。死亡説の出たラキオが意識だけでレムナンに会いにきて、行方不明になったラキオの肉体を二人で探す話。
ふたりの関係はブロマンス寄り。
The ghost sleep somewhere 1 気が付くと、ラキオは部屋の真ん中で突っ立っていた。白い壁と青みがかったグレーの床。何の変哲もないごく一般的な居住船の一室だ。平凡なつくりの住居の中で、グリーゼでは滅多にお目にかかれないフードプリンターがキッチンカウンターの上を占領している。それを見てようやく、ラキオはここが自身の暮らしている家だという確信を得た。
己がどこにいるのかは分かった。問題はなぜ、今、自宅にいるのかということだ。今日は革命を成功に導くための足がかりとなるであろう重要な会談に出かけたはずだ。なのにどうしてここにいる? 少なくとも何かしらのトラブルが起きたことは間違いない。まずはレムナンにこのことを報告しなくては。
なにかあったときのためにレムナンは会談場所から近い建物で待機しているという話だった。今も同じ場所に留まっているのかまでは分からないが、少なくともまだ帰宅してはいないだろう。となれば通信で連絡を送らなければ。
7368己がどこにいるのかは分かった。問題はなぜ、今、自宅にいるのかということだ。今日は革命を成功に導くための足がかりとなるであろう重要な会談に出かけたはずだ。なのにどうしてここにいる? 少なくとも何かしらのトラブルが起きたことは間違いない。まずはレムナンにこのことを報告しなくては。
なにかあったときのためにレムナンは会談場所から近い建物で待機しているという話だった。今も同じ場所に留まっているのかまでは分からないが、少なくともまだ帰宅してはいないだろう。となれば通信で連絡を送らなければ。
siousr
MENUCC東京147で頒布予定だった新刊とグッズです。1月22日(土)のAM11からBOOTH(https://kainekonosu.booth.pm)にて頒布を予定しておりますので、ご興味ある方はよろしくお願い致します! 9
Yoruma_ma
DOODLEレムとラキが同じ個室に入って行ったので「んふふ、こりゃ怪しいDEATHな?」「距離感気になってたんだよな〜俺もな〜」と二人で耳くっつけるSQと沙明二人のことだからイチャイチャも淡白なんだろーなー、いや意外とラブラブかもよ?などと話しながら聞いていたら、しばらくほぼ何も聞こえなかったのに、途中からラキオの声がモロ喘ぎ声になるさらに時が進んだらやだやだやだもう出ないッもうむりいけなっやだぁ!と半ば泣き叫ぶみたいな声になってしまい、(レムナン、やっべ〜〜)という顔で見つめ合うことしかできなくなったSQと沙明 181
Yoruma_ma
DOODLEレムラキの告白の話なんですけど好きです、とうっかり伝えてしまったレムナン珍しくキョトンとするラキオ
すぐ自分の失言に気がついて慌てるレムナン
「違う、んです、ごめんなさい、今のは……」
でももはや言い逃れられないのに気づいて、もう一度小さな声で謝る
ごめんなさい、汚い、感情を、向けて…とフードの胸元を抑えて顔をしかめる
ラキオは相変わらず目を丸くしたまま、ことんと首を傾げる
「汚い、って何?」
「え」
「それ君の価値観だよね?」
例えば、とラキオは人差し指を立てる
「君、動力炉とか好きだよね…結構花や草も。イートフェチでもあるよね。僕はどちらも好まない。機械油は臭くて汚れるし、土なンか触りたくないし、食欲に乱されたり消化に力を割いてしまうのもごめんだね」
「人の好きと嫌いって複雑で嫌になるよね。ま、でも違いがあることは君でもわかるだろうに」
いつも通りベラベラとしゃべり続ける
レムナンは軽く呆気に取られてこくりと頷いた
「で、君さ。今僕が述べたようなことを、僕の価値観を突きつけたら腹を立てたことがあるよね。そんなの人によりますよね、口出さないでください、ラキオさんには関係ないじゃないですか!ってさ」
そうだ 1282