ma_hirune100
MOURNING全然始まらないカバトガ 自分の人生が始まった瞬間を、カバキははっきりと自認していた。
そして、自認してからはとにかく速かった。
「母さん、俺、塾とサッカー辞めるから」
何故か?と聞かれれば。
走りたいから。そう答えるしかなかった。
今までの全てを放り出し、走って、走って、走る。何でも器用に卒なくこなしてきたつもりだが、あんな風に走りたい、という至極シンプルな欲望は、追求しても追求しても飽きることは無かった。
毎日がむしゃらに脚を動かしながら、脳裏にあるのは、全中での風を靡かせるあの、姿。圧倒的、というのは彼のためにある言葉だと思った。釘付けになる視線の先に、何があるのか。
まだ走りだす前の自分には、知る術もないことだった。
*
この歳になると、知りたく無かったようなことまで知ってしまうものだ、とカバキは思っていた。
1700そして、自認してからはとにかく速かった。
「母さん、俺、塾とサッカー辞めるから」
何故か?と聞かれれば。
走りたいから。そう答えるしかなかった。
今までの全てを放り出し、走って、走って、走る。何でも器用に卒なくこなしてきたつもりだが、あんな風に走りたい、という至極シンプルな欲望は、追求しても追求しても飽きることは無かった。
毎日がむしゃらに脚を動かしながら、脳裏にあるのは、全中での風を靡かせるあの、姿。圧倒的、というのは彼のためにある言葉だと思った。釘付けになる視線の先に、何があるのか。
まだ走りだす前の自分には、知る術もないことだった。
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この歳になると、知りたく無かったようなことまで知ってしまうものだ、とカバキは思っていた。