choko_bonbon
DONE57の日!#五七版GW企画の1「ドライブ/腕時計/見ないで」をお借りして。
キスして、お風呂にもつれ込む57深夜、伊地知の運転する黒い車体だけがぽつねんと、人の往来が減った繁華街に向かって走る。車内には、ごお、と路面を滑るタイヤの音とそれから。
――コツ、コツ、コツ。
ふかく整えられた爪の先が、時計の文字盤に嵌るガラスを叩く音が響いていた。
規則的な音色は、秒針が動くごとに振り下ろされているらしく。刻一刻という言葉を堂々と背負いながら、伊地知の心臓を縮み上がらせている。
「っ、その……申し訳ございません、でした」
バックミラーへ視線を投げ、後部座席の様子を確認すれば。伊地知にだけ分かる、極度に苛ついた様子の男が、その視線に気付いてにったり笑いかけてきた。顔の上半分が隠れていたとして、美人が怒って微笑むと、より一層の恐ろしさがある。
6661――コツ、コツ、コツ。
ふかく整えられた爪の先が、時計の文字盤に嵌るガラスを叩く音が響いていた。
規則的な音色は、秒針が動くごとに振り下ろされているらしく。刻一刻という言葉を堂々と背負いながら、伊地知の心臓を縮み上がらせている。
「っ、その……申し訳ございません、でした」
バックミラーへ視線を投げ、後部座席の様子を確認すれば。伊地知にだけ分かる、極度に苛ついた様子の男が、その視線に気付いてにったり笑いかけてきた。顔の上半分が隠れていたとして、美人が怒って微笑むと、より一層の恐ろしさがある。