TokageIppai
DONEリッカちゃんとエステアちゃんが出会ったばかりのころの話満月と子守歌 遠くの山で、狼が吠えた。
仲間を探しているのだろうか。けれども返ってくる声はなく、長く尾を引いた咆哮はただ空しく夜の静けさに飲まれていく。
カーテンのない窓からは、月明かりが真っ直ぐに差し込んできていた。
こんな月の大きな夜には、狼が遠吠えをあげて人間の姿に変化する。以前どこかで聞いたおとぎ話を、エステアはぼんやりと思い出していた。
満月の夜が、彼女は少し苦手だった。
何もかもが青白い光に照らされているのを見ると、どこにも逃げ場がないような、何も隠し事ができないような、そんな気持ちになるのだった。早く眠ってしまってやり過ごしたいのに、そういう時に限って、明るい光を浴びた目は一層冴えてしまっていた。
2697仲間を探しているのだろうか。けれども返ってくる声はなく、長く尾を引いた咆哮はただ空しく夜の静けさに飲まれていく。
カーテンのない窓からは、月明かりが真っ直ぐに差し込んできていた。
こんな月の大きな夜には、狼が遠吠えをあげて人間の姿に変化する。以前どこかで聞いたおとぎ話を、エステアはぼんやりと思い出していた。
満月の夜が、彼女は少し苦手だった。
何もかもが青白い光に照らされているのを見ると、どこにも逃げ場がないような、何も隠し事ができないような、そんな気持ちになるのだった。早く眠ってしまってやり過ごしたいのに、そういう時に限って、明るい光を浴びた目は一層冴えてしまっていた。