siso_k_JB
DONE仕事中にいちゃついて手ックスするいとうさ(できてる)多分周囲にもバレてます
指で伝える 主任同士の会議中。たまたま、ほんの偶然。隣の席に座る彼の指が、テーブルの下で自分の指に当たった。それまで目の前の話題に集中していた思考が止まる。偶然の接触に相手もすぐに気づいたようで、すぐさま手を引かれたと同時に思考が現実へと戻ってきた。自分から見て左側を、前髪で視線を隠して盗み見る。触れた相手は素知らぬ顔で、特に興味もないであろうホワイトボードへ視線を向けていた。
会議が始まって45分経過。議題内容に無駄は無い。ただ、一癖も二癖もある集団ゆえ、上手く話が纏まらずにやや退屈していた所だった。再度視線を隣──伊藤吉兆へと向けると、はなからメモを取るつもりもない右手はだらりと未だテーブルの下に投げ出されていて、ふと、いたずら心が芽生えた。
1664会議が始まって45分経過。議題内容に無駄は無い。ただ、一癖も二癖もある集団ゆえ、上手く話が纏まらずにやや退屈していた所だった。再度視線を隣──伊藤吉兆へと向けると、はなからメモを取るつもりもない右手はだらりと未だテーブルの下に投げ出されていて、ふと、いたずら心が芽生えた。
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DONEなんでも許せる方向けのいとうさほんのりホラー
Jasmine「伊藤君、伊藤君」
蒸し暑い、蝉のうるさい夏だった。
それとは対照的に銀行の奥深く薄暗く冷たい室内で、伊藤の背後から弾んだ、聞き覚えのある声が響く。
「……宇佐美か」
男が振り返り返事をすると、声をかけてきたであろう本人はわずかに肩をすくめ、目を丸くして首を傾げた。
「まさか振り向いてくれるとは思いませんでした。少し話しませんか?」
目を細め薄く微笑む時に左手で前髪を耳にかける仕草。それは、よからぬ事を考えている時のこの男の癖そのものだった。伊藤は眉を顰め訝しげに相手を見ると、その腕を掴もうと手を伸ばす。
──が、男は半歩下がりそのまま背を向け歩き出した。
普段であれば、誘いには乗らない。伊藤吉兆と宇佐美銭丸はいわば古くからの犬猿の仲であった。ただ、その日は成すがまま、ゆらりと揺らめく男の背を追いかけた。
1595蒸し暑い、蝉のうるさい夏だった。
それとは対照的に銀行の奥深く薄暗く冷たい室内で、伊藤の背後から弾んだ、聞き覚えのある声が響く。
「……宇佐美か」
男が振り返り返事をすると、声をかけてきたであろう本人はわずかに肩をすくめ、目を丸くして首を傾げた。
「まさか振り向いてくれるとは思いませんでした。少し話しませんか?」
目を細め薄く微笑む時に左手で前髪を耳にかける仕草。それは、よからぬ事を考えている時のこの男の癖そのものだった。伊藤は眉を顰め訝しげに相手を見ると、その腕を掴もうと手を伸ばす。
──が、男は半歩下がりそのまま背を向け歩き出した。
普段であれば、誘いには乗らない。伊藤吉兆と宇佐美銭丸はいわば古くからの犬猿の仲であった。ただ、その日は成すがまま、ゆらりと揺らめく男の背を追いかけた。