はじめ
MOURNING大人面あた←テンちゃん※面あた前提尚且つがっつりあた←テンの矢印ありなので諸々注意
お兄ちゃんを取られた切なさみたいなものを、ずっと燻らせている。
消えない炎 珍しく玄関から帰宅すると、階段をのぼるあたるの背中が目に入った。
「なんや、帰ってたんか」と薄い背中に投げかければ、「開口一番それかい」と僅かに振り返ったあたるが眉を顰める。
お兄さんにおかえりの一言も言えんのか。べ、と舌を出して嫌味を垂れるあたるに向かって、どこにお兄さんがおるんや、と言い返す。見たところ、家にはあたるの母も父もラムもいないようだった。二人きりの夕暮れ時。
「今日はいつもより早いんやな」
「外回りから直帰したからな」
なんてことない会話を交わしつつ階段を上り、あたるの真後ろについた。なぜか風呂上がりを彷彿とさせる、清潔なシャンプーの香りがした。なんでや、と不思議に思った瞬間、あたるが階段を踏み外した。片足を浮かせたタイミングで土踏まずがずるりと滑ったようで、背中から倒れてくるあたるがスローモーションに見える。
3060「なんや、帰ってたんか」と薄い背中に投げかければ、「開口一番それかい」と僅かに振り返ったあたるが眉を顰める。
お兄さんにおかえりの一言も言えんのか。べ、と舌を出して嫌味を垂れるあたるに向かって、どこにお兄さんがおるんや、と言い返す。見たところ、家にはあたるの母も父もラムもいないようだった。二人きりの夕暮れ時。
「今日はいつもより早いんやな」
「外回りから直帰したからな」
なんてことない会話を交わしつつ階段を上り、あたるの真後ろについた。なぜか風呂上がりを彷彿とさせる、清潔なシャンプーの香りがした。なんでや、と不思議に思った瞬間、あたるが階段を踏み外した。片足を浮かせたタイミングで土踏まずがずるりと滑ったようで、背中から倒れてくるあたるがスローモーションに見える。