minamidori71
DONEビョルアシェ。戦功の褒美にただ褒めてもらうことだけを望むビョルン君と、困惑するアシェラッドの話。以前、彼らの「最後の接吻」の話を書きましたが、今回ははじめてのキスの話です。キスの日記念ということで、勢いで書きました。
First Kiss 一番槍の褒美は何がいいか。そう問われて、ビョルンが包み隠さずほんとうの望みを言うと、彼は大きく目を見開き、しばらく無言のままでいた。
「……それだけ?」
「それだけ」
ふゥん、と鼻を鳴らし、途方に暮れた様子であさっての方角に視線を流して、ぼりぼりと頭を掻く。ただそれだけの、なにげない動作だというのに、甘くすずやかな香りがほのかに立った。彼がいつもつけている、月桂樹の香油の香り。それを聞き出すだけで、三ヶ月もかかった。
「ビョルンお前ね、ちと無欲すぎんか? 一番槍に加えて、大将の首級あげたのもお前だぜ。ふつうはもっと褒美をほしがるもんだ。銀とか剣とかよ」
「銀はじゅうぶん貰ってる。剣は消耗品だ。よく手入れしてあれば、どんな鍛冶屋が打ったものでも、そう変わりねェ」
2533「……それだけ?」
「それだけ」
ふゥん、と鼻を鳴らし、途方に暮れた様子であさっての方角に視線を流して、ぼりぼりと頭を掻く。ただそれだけの、なにげない動作だというのに、甘くすずやかな香りがほのかに立った。彼がいつもつけている、月桂樹の香油の香り。それを聞き出すだけで、三ヶ月もかかった。
「ビョルンお前ね、ちと無欲すぎんか? 一番槍に加えて、大将の首級あげたのもお前だぜ。ふつうはもっと褒美をほしがるもんだ。銀とか剣とかよ」
「銀はじゅうぶん貰ってる。剣は消耗品だ。よく手入れしてあれば、どんな鍛冶屋が打ったものでも、そう変わりねェ」